イベント -かつての仲間たち-
宣言された彼らはそれぞれ違った反応を見せる。
「…ふふん(ドヤァ)」
と闇妃はなぜか得意げな顔をし、
「カカカ、よろしくな!!」
と地勇は武器の斧を肩に背負い、何も気にして無いような明るさで声をあげる。
「ふん…俗物どもが」
水精はその蒼い髪を棚引かせながら付き合いきれんと首を横に向けた。
「ほう…こっちの仲間をされたら困るから先に引き込んだってわけか、カネであんたたちが靡くとは思えないんだがな~なんか理由があるのか?」
俺は素直な疑問を口にする。闇妃たちが敵に回ったことは対して驚いていない、もとよりイベント戦、自身のレギオン以外は全員敵になるという気概があったからだ、敵の一人と交友のある、ミユとミストは少なからず何かを考えているようだがそれを無視して会話を続ける。
俺の質問に水精はこちらを馬鹿にしたような顔をして見下した。
「お前の頭はお花畑か?わざわざこれから戦う敵に事情を離すわけないだろう。子供と慣れ親しみ過ぎて頭の中まで子供と同じになったか」
「カカカ、おいおいそれは言い過ぎだろ?あいつは元から頭の中お花畑で子供だったさ、一時期まともだったような言い方良くないぞ?」
「言い過ぎってそっち!?」
水精からいつものように毒舌を吐かれる、地勇がフォローしてくれるのかと思ったら普通にけなしてきた。
「まあでも…」
「…確かに」
なぜか周りも同調したような反応を見せる。何と言うことだ。俺に味方はいなかったのか…いや一人だけ闇妃がグッドマークを指で作りこちらを励ましてくれていた。さすが俺の従妹だ。俺の気持ちをわかってくれる…
「…ドンマイ。…そんな炎皇も素敵だよ?」
前言撤回。わかってなかった。
「いや、子供っぽいこと否定してくれよ…まあいい。俺としてもくだらないことを聞いちまったみたいだな。ことここにいたっては理由なんて関係ない…あるのはただ倒す倒されるの敵対関係あるのみってことだ」
「ふん…当たり前だ…」
「…とこれで他の六人には見覚えがあるけどそちらの和服さんはどこのどちらさん?」
俺の質問に答えたのはフィルだった、彼女は視線をその少女に合わせると手短に説明を始める。
「彼女は元ソロ、抜刀娘楓…と言われていた、楓という名の準トッププレイヤーだ。今回強敵と戦えそうだからとこちらのレギオンに入ってもらった」
「いやいや、フィルさんちょっとそれは間違ってるよ!アタシは強敵と戦えるからレギオンに入ったんじゃない。強敵を切れそうだからこのレギオンに入ったんだ。ホラ見てよこの美しいなだらかな曲線、そして細く凛々しい剣先…万物を切るかのように尖る刃にそれらを全て治め中和するかのように備え付けられる鍔が柄との境にあり均等を守ってる…この刀で切りたいと思わない?いやこの刀は飢えている、そうこの刀で切って切って切りまくれとささやいているんだ!!」
突如、語り始めた楓。その顔は高揚しており、涎を垂らさんばかりに口を開いている。明らかに刀に見せられたヤバい子だ。妖刀に既に憑りつかれているタイプだ。
俺は素直な気持ちを吐いた。
「ええっと…その子大丈夫?」
「…性格に問題はあるが腕は確かだ…」
はぐらかすように目を背けるフィルを見て、少し同情する。他のトッププレイヤーは軒並みイベントに情熱を注いでいて、力のあるプレイヤーは彼女のような色物しか集まらなかったのだろう。…まあ人の好みは人それぞれだと思うが、何とも危険な思想だ。
「…まあ、挨拶はこれ位にしておこう。次に会うのはイベントでだ。君たちが敗北して迅が泣きわめく姿を今から期待しておくとしよう」
そう言って嵐のように現れたフィルたちスワローズネストは去っていった。後に残された俺たちはとりあえず、スワローズネストたちについて話合う。
「まさかマサキたちが敵のレギオンに居るとはな…最近なんかこそこそしていると思ったらこういうことだったのか…」
「そうだな。恐らく地勇の誘いで今回のことを知ったのだろうな。実力はあるがそれほど名を知られているというわけではなかったはずだからな」
ミユがそう言葉に表し、アーサーがそれを補足する。
「それにしてもあのプライドの高い水精が誰かの下に付くなんてな~」
「いや、多分あれは協力はしているが下には付いてないと思うぞ?」
「ん?どういうことだよ炎皇?下についてないならイベント戦で意味がないんじゃないか?」
ライムは恐らく水精たちがスワローズネストに所属したと考えているのだろう、でなければこのゲームでの価値がないと考えている。だがそれは違う。フィルの放った言葉から察するに…
「恐らくはレギオン員は最初に言ったように横にいた…グラサン、マサキ、レン、楓だけだと思う。後ろにいたあの三人は協力者だ。…今回の場合で協力者が請け負う役割は恐らく、自身と俺たちのレギオンが同じ仕合会場にならなかった時のために俺達を倒すための要員…そしてバトルロワイアルや陣取りなどポイントが一番高く、勝敗を決するための仕合の補助が目的なんだろうな」
その言葉にライムは理解したようにうなずく。
「なるほど…実際自分のレギオンに仲間を増やしても出場できる人数は限られている。それならば別のレギオンを用意し、自身が当たらなかった時も含めて確実にリヤンショワに黒星を付けられる状態にしようとしたってことか。そういったレギオン同士の助け合い
は酷い行為以外はグレーゾーンに当たる。そのぐらいなら白に近いグレーとして扱える…」
「そういうこと、まあ堅実な戦略っていった所なんだろう。外部要因にわざわざ担い手を当てたのはバトルロワイヤルで確実に勝利を掴むためだろうな。恐らくその三人で他の俺以外の担い手三人を抑えて一騎打ちになれば俺に勝つことができるっと考えているんだと思う。バトルロワイアルはポイントも高いし、もとより仲間は多少できる捨て駒扱いで本命は自分のバトルロワイアル一つだけなのかもな」
やれやれ、甘く見られたものだぜと首を振る。そんな軽い調子の俺を見てアーサーは忠告をしてきた。
「そんな調子で大丈夫か?闇妃と水精の二人がいるということはあのカードが…」
「ま、いいんじゃないか?」
俺はアーサーの続く言葉を止める。咎めるようなアーサーが言葉を発するより先に俺は言葉を発した。
「相手が何を持っていようと関係ない。俺は俺のデュエルをするだけだからな」
「まあ、少年がそう言うならそれでいいんだが…」
アーサーは不満な顔を一瞬浮かべたが、それを止めて言葉を飲み込んだ。
こうしてスワローズネストとの邂逅は終わった。開幕式は終わり舞台は巻き戻る…




