クエスト -「カードゲームで占い師が百発百中ってよくあることだろ」-
当然!正位置ぃぃぃぃ!
深い谷底…その奥に闇妃…ミライの秘密基地は存在する。
秘密基地とはソロプレイヤーのために用意された特別なレギオンルームのことだ。レギオンを組まないとレギオンルームのような自由空間が使えないためその代りとなるものを運営は作った。それが秘密基地だ。
秘密基地はダンジョンの中に数か所作れる場所があり、デュエルによって使用権をお互いに奪い合える。使用権を得た秘密基地は自分の自由に改造が可能となるわけだ。
俺は谷底に似合わない占いテントの入り口の布を上に持ち上げ中へと入る。
「お~い。ミライいるか~?」
「たまや~!!」
中には誰もいなかった。俺は外に出て谷底の壁に向かって叫んでいる弟子に向かって話しかける。
「何やってるんだ…?」
「見た通りです!!こんな谷底に来たら山彦を試さないと!!」
「いやさすがにこの距離じゃ無理だろう…」
「いや、さっき帰ってきましたよ?たまやー!!」
「…たまやー!!」
「ほら!!」
「なんでたまやー?いやそれよりも明らかに帰ってきた声の声質が違うだろう。この声は…」
俺は声を返したのが誰か気づき叫ぶ。
「ミライ~!!ふざけてないででてこ~い!!」
その言葉と共に一人の少女が岩陰から姿を現したゴスロリチックな服に占い師的な要素を兼ね備えた服を着た黒髪の少女…そう、闇妃ことミライだ。
「…面白かったから…つい」
「はあ…まあ今回はこっちが頼んでいる身だから余り強く言えないけどな…。んで今日訊ねた理由なんだが…」
「…ん」
ミライは俺の言葉が語られるより速く、俺に一枚のクエスト表を見せてきた。これはクリアしたクエストをクエスト表として表示できる機能を使ったものだ。
俺は渡されたクエスト表を手に取り見る。
-魔法少女爆誕-
Reward 「変身(魔法少女)」
Stage 「摩天楼広場」
Story 「摩天楼区ミレーズの裏路地で倒れた魔法少女を見つけたあなた。彼女は魔法少女の素質のあるあなたに魔法少女としての力と次なる敵の現れる場所を教えて倒れる。世界を平和を守るため、いま新たな魔法少女が爆誕する!!」
「これは?」
俺はクエストを見ながら闇妃に質問をした。闇妃はミストを指さすと
「…選ぶ」
と手短にいう。
俺はその様子に頭を掻いた。
「はあ、未来が占えるからって結果だけ取るのはやめようぜっていつも言ってるだろう。過程が大事なんだよ過程が」
「…冗談。…ちゃんと見本用意してある。…冗談は上段に置いておいてね」
「「…」」
「…ぷ、クスクス」
唐突にダジャレをブッコミ、自身のダジャレで笑い始めるミライ。俺たちが無言となっていることに気付くと首を傾けた。
「…?」
「いや、何そのなんで笑わないのって目線!!何がいけないのって目線!!いつもながらマイペース過ぎるんだよ。なんで俺がツッコミに回らなくちゃいけないんだ!!俺はボケ担当たぞ~!!」
瀬那だ!だれか瀬那を呼んで来い!!と暴れる俺を弟子がドウドウドウと闘牛を操るように鎮める。
落ち着いた俺に弟子が質問を投げかけてきた。
「…で、師匠。未来を占えるってどういうことですか?」
「ん?ああそのままの意味だよ。此奴の占いは百発百中なんだ」
「え`え`!!そんなことあるわけないじゃないですか!!」
弟子が驚いた表情で俺につかかってくる。俺は何が可笑しいのと言った顔で答えた。
「カードゲームで占い師が百発百中ってよくあることだろ」
「…うんうん」
「へ!?あれ!?そうなの?え!?そうなのかな~?」
混乱し首を傾ける弟子を置いて俺たちは話を続ける。
「とりあえず、これ見てみろよ。闇妃がもっている闇属性カードたちだ。この中から使いたいカードを選択してくれ」
大量のカードを弟子に見せた、弟子は悩みながらもその中から一枚のカードを選択する。
「魔法少女シリーズのカードか…ま、予想通りにはなっちまったみたいだな」
「…残念。もっと面白い展開が見られれば良かったのに…こっちのグリーンゴー…」
「やめい!そんなトラウマクエストで取らなきゃいけないカードを嬉々として進めるな!!」
「…残念」
本気で残念そうにするミライを見ながら俺は少し警戒の色を上げる。ミライは占いによってある程度の未来を全て見れるため世の中の楽しみがわからないといった特殊な性質の人間だ。単純に言えば結果がわかっている物語は面白くないといった所だろう。だから彼女は常に自分の知らない何か、そして面白さを求めて普段はずぼらなくせにアクティブに行動するのだ。
(俺だけの時ならまだしも弟子を巻き込むわけにはいかないからな…注意しないと…)
こうやって頼んだ時点でついてくる気満々だろうミライに注意しなくてはいけない、もし断ってもきっと未来を呼んで先に待ち構えていると思われるので変わらないし。
そう考え結論を纏める。
こうして俺たちは魔法少女デッキを作るためにクエストを受けることになったのだった…。
☆☆☆
「し、しょ~う。まだ着かないんですか~」
「摩天楼区ミレーズまであとちょっとだ。ていうかお前がミレーズに言ったことないからワープステーション使えずにこうやってわざわざ歩いて向かってるんだからな?」
「……(怒)」
「は!!ミライさんから怒気が伝わってくる!!すみませーん!!」
俺達は今、徒歩でミレーズに向かっていた。本来なら町から町へ一瞬で移動できるワープステーションを使おうと考えていたが、ワープステーションは行ったことのある町にしか使えないため、ミレーズに行ったことがない弟子が使えなかったのだ。
その為、今、俺らは全員で歩いてミレーズに向かっている。
「お、見えてきたぞあれだ!」
俺達の目の前に当たり一杯の草原のど真ん中に立つ、近代的なビル群が目に入ってきた。
「え`、世界観違過ぎじゃないですか…。これファンタジーの世界観ですよね?」
「ファンタジーだからなんでもありなんだろう?実際有機皇だって近未来の機械都市のすぐ近くになぜか西部ガンマン風の世界観の町があったからな~ほら似たようなのがあそこにもあるぞ?」
俺が指を向けた先ではロープを回しながら駆け抜ける馬に乗ったガンマンがいた。
「…」
「…ガンマンだけにこの状況にガンマンして」
「「…」」
「いくぞ」
「そうですね」
俺たちはとりあえずミレーズの中へと入っていった。




