レギオン -諭ス-
案外美雪はあっさりと見つかった。彼女は別の公園で遊ぶ少女たちを眺めていた。その目には明らかに羨望のまなざしがあり、自身を自虐したような目で見ていた。
(確かにあれは…はたから見ても友達を欲しがっているな…まあアイツのやり方を認めるわけにはいかないんだがな)
俺は美雪に近づく、目の前に立ったところでようやく美雪は俺に気付いた。
「は、なんだ炎皇?俺を笑いに来たのか?弟に良いように踊らされてそれでもまだ友達一人作れない俺を」
「笑いに来たっと言いたいところだが俺もさすがにそこまでゲスじゃねーよ。…こい。いいものを見せてやるぜ」
「は?良いものなんだよそれ?っておいちょっと引っ張るな」
俺は美雪を引きずるように連れて行く。目的地はこの公園に来るまでに見たあの場所だ。
☆☆☆
「ちょ!?おい!?どこまで行くんだよ!?」
「もうすぐ…ここだ。ここで隠れてあっちを見ろ」
「はあ、何なんだよ…」
俺達の目の前には三人の少女達がおしゃべりを続けていた。それはもう楽しそうに会話をしている。そして俺の見立て通りそろそろ会話が終わり二人が去っていった。
「はあ、マジめんどくさ。散々言ってるあんたたちの方がバカだっつーの」
残された少女はそう離れた二人に聞こえないように罵倒して足早にその場を去っていった。美雪は息をのんでその光景を見ていた。
「あんたが見せたかったってのはこれか?」
「そうだ。友達付き合いってのは誰もが楽しい。誰もが心の底から笑い合えるそんなもんじゃない。それは幻想だ。どんなもんだって悪い面がある」
「…あんたは俺に今まで通りで居ろって言うのか?」
「いや、そうじゃない。どう生きるかそれを決めるのはお前だ。…ただ自身の気持ちを偽って生きることや何も知らず安易に選ぶことはは許さない」
「自身の気持ちを偽る何も知らずに選ぶ…」
「自身の気持ちを偽り孤高を続けてもそれはお前の本当にしたい生き方ではない。そしてこのままアイツの計画に乗せられて友達が出来たとしてもそれは何も知らない幻想の友達だ…いつか絶対後悔する。こんなはずじゃなかったってな。どちらを選んでも同じだそれはお前が本当の意味でそれを選んでないからだ。正しく生きるには進んでいくにはお前自身の意思が大切になる。それがなければ何かを選んだところで意味はない。だからこそ自分で選べ。それが答えだ。チャンスは俺が作ってやるよ」
「チャンスを貰ってももともとそんなに簡単に選べればこんなにも悩んでないさ」
「物事には必ず終わりが来る。…悩んでいることにもどんな形にせよ終わりは来る。そのチャンスが来れば意外と選択できるものさ」
「ちょっと君」
「…」
「君、ちょっと…」
「ま、これも結局俺の生き方の押し付けなってしまうんだけ「君ちょっといいかな?」なんだよ煩いな!!いまいいところなんだよ!!」
俺がそう叫んで会話を邪魔した者を確認するために振り返るとそこにはいい笑顔を引き攣らせながら立っている青い帽子に青色の制服を着た人物…警察の人がいた。
「え、警察?」
「外国人の幼女を連れまわしている中年男性がいるとご近所の方々から通報があってね…ちょっと署で話を聞かせてもらおうか」
警察の人は親指を後ろに向けて引き。笑顔でそう言い放った。
☆☆☆
「こんなはずじゃなかった…」
「正しい選択してれば後悔しないんじゃなかったのかよ」
あの後警察署に連れいていかれた俺は取り調べを受けていた。まさか俺が警察のご厄介になることになるなんて。まっさらな人生を送ってきたはずが飛んだ誤算だ。警察の方にしっかりと無実を訴えたのだが信じて貰えず。美雪から話を聞くと話されてから数十分が経過していた。そんな中漏れた俺の言葉にようやく戻ってきた美雪が反応していた。
「それとこれとは話が別だろう!!こんなことになるなんて誰が予想できた!?ああ、あれだけ優理と出会ってから周りの目線を気にしてきたのに…なんてこった…」
「まあ、そんな落ち込むなって一応俺からも経緯は説明したからさ」
「そうか助かったありがとう!!」
「お、おう。まあ礼はいらねーよ」
俺は美雪の手を取ってお礼をいう。お礼を言われることに慣れてない美雪は一瞬戸惑ったものの礼はいらないと口にした。そんな俺たちのやり取りを警察の人が怖い目で見ている。俺は恐怖からバッと手を離した。
「君ね…まあ、今日のところは見逃してあげるけど次からは容赦しないから」
「はい、わかっています。すみません」
「幼女の平和を守るのが我々紳士の仕事だからね。…帰り道暗闇に気を付けなよ?」
「え、なんか話変わってませんか…?」
警察の人の言葉に思わずドン引きしながら俺は帰路につくこととなった。
☆☆☆
「あ、おかえりなさ~い」
「お、ただいま。というか瀬那はまだこっちに居たのか」
「そうですよ。優理も居ます。勝手に出て行っちゃうからビックリしましたよ~アーサーさんとなに話してきたんですか?」
部屋へと入った俺に瀬那が質問をしてくる。我が物顔で俺の特等席に座っている優理を持ち上げて押しのけゆっくりと座ってから俺は答える。
「う~ん。しいて言うなら初めてのレギオン戦だから本気で来いと激励されたくらいかな?…折角だし俺達の中で負けたとき罰ゲームでも決めるか?」
「罰ゲームですか!?」
瀬那は驚いた顔でそういう。
「面白そう。負けるわけないし別にいいよ」
優理はそれに乗り気だった。
「罰ゲームの内容は今だ仮設定になっている。レギオンの名前だ。生き残ったのが俺だけで勝利した場合はレギオン名をトマトソーススパゲッティにする」
「兄さんだけが残った時?負けた時ではないのですか?それよりその名前はなんですか!?」
「ホラ、俺が負けるわけないだろう?だから俺だけが残った時に罰ゲームなんだよ。レギオン名は適当に恥ずかしそうなの選んだだけだ。昨日の昼飯だな」
「あれ?前にスパゲッティ嫌いだって言ってなかったけ?」
「嫌いでも安いの。大人としては食べなければいけないときがあるの!…とまあそれは置いておいて。報酬の方は最後まで生き残ったやつが正式なレギオン名を決める…それでいいだろう」
俺の言葉を聞いた二人は悩んだ後、縦に顔を振り頷いた。
「まあ、折角だしそういうのも面白いかもしれませんね」
「問題なし」
よし、とりあえず昼間の件は誤魔化せたな。明日はレギオン戦だ。俺は素直に他人のシナリオに踊らされていく気はないぜ。そう考えながらその日は終了した。
☆☆☆
「あ、浅見さん?連絡取って欲しい人がいるんだけど…。うん。うん。相手は風賢の弟子に炎皇を倒した女。それに炎皇でしょ?光将のあなただけじゃ負けちゃうと思うんだよね~…結局返事聞きそびれちゃったし手は打っとかないとね。うん。うん。あ、そう了承してくれるって?わかった。こっちも助っ人連れて行くからよろしく」
政輝は携帯電話を置き通話を終了させる。
「ふふ、完璧だ。これだけの準備をすればもうどうやってもシナリオは止められないさ」
政輝の高笑いが部屋に響いた。




