レギオン -決メル-
「よし、全員そろったな」
「はい」
「ん」
「…おう」
いつもの通り町から少し離れた草原で俺達は合流していた。いつもと違う点はこの中にミユが混じっているところだろう。ミユのテンションはまだ低いようだがそんなことを気にしてはいられない。俺達は早速、一、二、サンダ―のレギオンルームに向かうことにした。
☆☆☆
「ようこそレギオン。一、二、サンダ―へ!!僕はレギオンリーダーのレイサンだ。レイサンダーと呼んでくれ」
レイサンダーは笑顔で手を前に差出、ユーリ、セナ、ミユと順に握手を行っていく。レイサンダーはひょうきんな三枚目の男だ。見た目イケメンだがところどころ抜けている。使用デッキは珍しい言語AIが入っているモンスターが多く入ったデッキでおしゃべりしながら戦う彼のデッキは見ているだけで楽しい。実力もかなりのものでトッププレイヤーと呼ぶのにふさわしい人物だ。
そしてその隣にいる。黄色い髪をした優男は…。
「俺は一応、幻電の帝王…通称雷帝って言われてるそこの炎皇の幼馴染の友達でライムって名前だ。ユーリちゃんは初めてじゃないがそちらの二人は初めまして。今回の見学会は俺が此奴に依頼されてセッティングした。何人かメンバーはいないがまあ見ていってくれ」
そう此奴がライム。俺の子供の頃からの友達で担い手と言われる者たちの一人でもある男だ。デッキは幻電デッキ、持続属性の雷と自身の特殊な武器を使って相手を惑わして戦うタイプで情報収集に余念がなくしっかりと対策を行う男だ。
一通り挨拶が終わったあと、ユーリ達はレギオンルームの内装を見渡す。質素な風合いでボロい小屋を思わせるようなレイアウトの部屋だ。
「案外ボロいね」
「こらユーリ」
あまりに正直に言葉を出したユーリを俺は咎める。確かにボロいだがこれはわざとやっているのだ二期ファンの一、二、サンダ―たちにはこのボロアパートのような特徴は原作のアニメの場所を再現した至高の場所なのだ。
ユーリの非礼な言葉を聞いてもレイサン…レイサンダーは笑いながら話を続ける。彼らも趣味でやっているのだ。それくらいでは怒らない。
「ははは、まあそうかもね。そう見えるようにカードを集めたんだから見えなかったら困るよ」
「カードを集めた?」
「うん、そうだよ。レギオンルーム内ではカードの一時的な実体化が可能なんだ。いくつかあるレギオンの利点の一つだね。ここにある家具とかもそれに対応するカードを色々集めて設置している。他の場所では獣型モンスターを実体化させてモフモフを楽しんだり、ここの家具みたいな効果の無いアイテムカードの一つの滝とか渓谷とか設置して疑似アウトドアを楽しんだりしてるみたいだね」
「へぇ~」
そうなんだ~と適当に流しているユーリ達に俺は釘をさす。
「俺らもレギオン作る前にしっかりと集めるからな覚悟しておけよ?」
「「「え~」」」
明らかにめんどくせーみたいな雰囲気が伝わってくるが俺はそれを無視しライムに話しかける。
「それよりライムお前、ユーリと戦ったとき面倒だからって手を抜いてわざと俺の場所教えたな!!」
「良いだろう別に、付きまとわれるのが一人から二人になるだけだと思ったんだよ」
「大違いじゃ。一人と二人は!!おのれここであったのが百年目!!きっちり仕返しはさせてもらうぞ!!」
「ふふふ、こい!!」
そして俺とライムの無駄な戦いが始まる。そんなこんなで一、二、サンダ―のレギオン見学は終わった…
「え、なにこれ」
とユーリ達がいったとか言ってないとか
☆☆☆
滝が大きな音を立てて流れ、辺りには木につるされた丸太やタイヤなどスポコン漫画にでも出てくるようなものが配置されている。そしてその中心でマッチョな男や女たちがポーズを決めていた。
「「「「我々はレギオン」」」」
「マキシマム~!!」
「「「「エーックス!!」」」」
…そう、ここはレギオンマキシマムエックスのレギオンルーム通称、修練場だ。
「ようこそ、レギオン、マキシマムエックスへ歓迎するよお嬢ちゃんたち」
いつものポーズを取った後、アーサーは歯を光らせながらさわやかに握手を促す
。彼の筋肉がピクリと動いた。ユーリとセナは見慣れているがミユは気味の悪いものを見るような顔をしている。
「本日二つ目のレギオンだな。さっきのもそうだったがレギオンは真面目に攻略を目指すタイプの攻略組、俺達みたいなリアルでのつながりで作るたまり場組、レイサンやアーサーみたいな趣味組に大きく分けれられている。まあほかにも種類があるがとりあえずこの三つを覚えておけば大丈夫だ。それぞれがそれぞれの特徴があるが、種類が違っても自分たちの作るレギオンの参考になる。ここも良く見ておくんだぞ?」
「は~い」
「ん」
「おう」
軽く返事をして三人は見学を開始する。その姿を微笑ましく見守っていたアーサーがこちらに向かって歩いてきた。
「やあ、少年。まさか君がレギオンを作ることになるとはね!仲間が恋しくなったのかな?それならば我々のマキシマムエックスに入ってくれれば良かったのに」
「アーサーさんやめてくださいよ。俺にはマキシマムエックスは向きませんって。それにレギオンはアイツらに無理やり頼まれて作るだけで、俺は今でも孤高のデュエリストですよ」
俺はそれに苦笑いしながら答える。マキシマムエックスに居たら一日で全身マッチョにされそうだ。もちろんアバターだから実際にはそんなことはありえないのだが気分的にはそうなってしまう。
「孤高か…だが少年。仲間がいないのは大変ではないのか?私は仲間と共にふん!!こうやって仲良く筋肉を鍛えたほうが良いと思うがね。むん!!」
「仲間ね~…。欲しいなら欲しいと言うべきだし」
俺はちらりとミユを見る。
「いらないならいらないでいいと思う。生き方なんてそれぞれだし俺みたいに孤高の生き方が好きな奴もいるからな。ま、基本は人それぞれその人自身が決めることじゃないか?」
「む、そうか…。いやつまらないことを言ってしまったな。批判をするわけではなかったのだ」
「いや、こっちも棘のある言い方になってすまない」
少し場が気まずい雰囲気になる。話題を変えるためかアーサーがある提案をこちらにしてきた。
「なあ少年。うちとレギオン戦をしないか?」
「レギオン戦?どうしてまた?」
「なにレギオンを作るなら事前に体験しておいた方がいいだろう?イベントやいきなり挑まれるよりもな」
「確かに…そうかもな…でもルールはどうする?ロイヤルやタイマン、勝ち抜きとか色々あるだろう」
そうレギオン戦には様々な対戦の形式が存在する。大きな例を挙げるとロイヤル、タイマン、勝ち抜きだ。ロイヤルは参加者全員が一つのフィールドに入れられ、相手のチームを先に全滅させれば勝ちのルールだ。タイマンはお互いのレギオンから一人ずつ代表を出して戦う形式。勝ち抜きはその名の通り、代表者がやられるまで戦い続ける方式だ。
俺の疑問の声にアーサーは間髪入れず答えを返す。
「ロイヤルで行こう。その方が訓練になるだろう?」
「…まあいっか。じゃあそれで日にちはそっちに合わせるよ」
「ではこの日でお願いする」
「了解っと」
俺はユーリ達を手招きで呼び寄せる。そして全員に日にちの確認を行った。
「アーサーからレギオン戦の誘いがあったんだがいい練習にもなるし受けようと思う。それでこの日にちは空いているか?とりあえずユーリとセナは大丈夫だと思うからミユは良く見てくれ」
「…俺も問題ないなこの日は」
「そうか、じゃあこの日でオーケーと伝えてくる」
こうしてレギオン戦が行われることが決まった。




