レギオン -現レル-
「はあ、レギオン作りたいっていっても他のメンバーに当てはあるのか?最低四人いないとレギオン作成クエスト受けられないから幽霊レギオン員でももう一人必要だぞ?」
俺はユーリとセナにそう問いかける。場所はブレイブカード内。町にいくと直結にレギオンに誘われてうっとおしいということで町から少し離れたフィールドで話し合っていた。
「ない。だから探して?」
「すみませんないんです…」
「俺頼みかよ…」
炎皇も安くなったもんだぜと愚痴をこぼしつつ歩く。これは一旦あれだ。
「ギルドに言ってよさそうな人を勧誘するしかないか…」
「ん」
「そうですね」
ああ、面倒だ。俺達は足取りも重くギルドに向かっていった。
☆☆☆
ギルドに向かう間、俺は周囲の視線を観察する。こちらを見てくるものもいるがすぐに視線を逸らし自分の作業へと戻っていく、そんな目線の中でいくつかいつもとは違う視線…こちらを探るように見る視線を感じた。
その視線の主は質素なアバターを身に纏い。歩きながらこちらを伺ってきている。
(久しぶりに二人と町に来たがあれが言ってた直結の目線か?…だがそれにしては服が質素すぎるような…初期アバタ―装備じゃないか?あれは?レギオンを作るには資金とカードアイテムと人数が必要になる。…とてもあんな服装の者が自分のレギオンを持っているとは思えないけど…レギオンに後から参加したにしても不自然だ。女子に興味を持ってもらうためにレギオンに誘っているのにわざわざあんな装備で来るか?…あれじゃまるで使い捨てアバターのような…)
俺は彼女たちが直結だと考えている者たちに違和感を覚えていた。だが例えそうだとしてもそれをする意味がわからない。
「どうしたの?」
「あ、いやなんでもない。さあギルドに入ろう」
ユーリに問いかけられ頭を疑問で傾けながらも思考を終わらせてギルドに入る。
中は相変わらず盛況だ。様々な趣味で作られたアバター達が料理を片手に酒場で盛り上がっていた。俺はそれを一通り見渡してため息を付く。
「どいつもこいつもやっぱりグループを既に作っているな…。大御所と言われるレギオンは沢山あるし、レギオンに入りたい奴ってのは大体そういうところに入るからな~こりゃ始まりの町までいかないとアカンかもな…」
「そうですね…やっぱりこういうのって難しいですね…」
「うん。私ボッチだったし」
「俺は孤高のデュエリストだからな…」
気づいてみたらこのパーティにはボッチしかいなかった。セナはVRチルドレンに勝つための勉強でほとんど友達付き合いはなかったらしいし、VRチルドレンの中でも優れているユーリは嫉妬と化け物扱いで友達が出来なかったそうだ。そして俺は孤高のデュエリスト…けして友達がいないわけではないが孤高を愛する人間だ…ほんとだよ?
単純に言ってみれば俺たちは結局誰にも声をかけられなかった。ユーリ達が俺にレギオンを作って欲しかったのもこれが本当の理由かもしれん。
「「「…」」」
俺達は誰もが喋らずに黙る。騒がしいギルドの中でそこだけか生き物のいない氷山になってしまったのかのような静けさだ。そんな中、ギルドの扉がバタンと大きな音を立てて開いた。
姿を現したのは金の髪を腰当たりまで伸ばし青い目をした、慈愛に満ちたシスターのような姿をした人物だった。その人物は俺を見つけると指を指して叫ぶ。
「噂の通りここにいたか!!やっと見つけたぞ…炎皇!!」
「ゲェ、アイツは…バトルシスターミユ!!」
「その名前で呼ぶな~!!」
少女の慟哭が酒場に響き渡った…
☆☆☆
俺はそう叫んだあとこっそりとミユから距離を取り、セナとユーリを盾にした。言われたくない異名を言われて混乱しているミユはそのことに気付かないがユーリとセナはそのことに気付きこちらを不審な目で見てくる。そして彼女のことを俺に聞き始めた。
「誰?」
「ユーリと出会う前から絡まれているバトルジャンキーさんだ。しつこくてさ、逃げても逃げても追ってくるんだよね…勝負勝負煩いし」
「ああん!?何だと!?誰が煩いしだって!?」
「いや、そんな可愛らしいアバターで凄まれても全然怖くないから」
「な!?このアバターはな弟が無理やり…俺は男のアバターが良かったんだ!!」
あれ?こんな会話前にもしたな?っとふと思いつつも弟とやらに憤るミユを見る。彼女は一通り怒ったあと冷静になったのかユーリとセナに視線を向けた。
「あ!?炎皇。その二人はなんだ?まさかあんたともあろうものが群れてるんじゃないだろうな?」
「だったらどうしたっていうんだよ?自由だろそんなことは?」
「はっ!!見損なったぜ炎皇!!群れるなんて弱い奴のすることだ!!そんなことをするようになったなんてお前もその程度の奴だったってことだな!!」
ミユはそういいながらも一瞬うらやましそうにユーリ達を見た。それは本当にほんの一瞬のことだったが俺はそれを目撃した。
「…ふ~ん。まあいいや。見損なったならもういいだろう?ほらさっさと次の獲物探しなよ」
「な、なんだよその目は!!見損なったとしても負けたことには変わりねえ!!お前を倒さないと俺は次へ行けないんだよ!!だから俺と勝負しろ!!」
メンドクサイな、正直に俺はそう思っていた。そんな中、俺をユーリは突っつく。
「ちょうどいい。勝負してあげれば…条件を付けて」
「条件…あ!」
にやりと悪い顔をして笑うユーリを見て俺は気づく。そうだちょうどいい。今ある問題を解決できるかもしれない。瞬時にこんなことを思いつくユーリにこの子は怖い子だ。なるべく逆らうのを止めようと恐怖しながらも俺はミユに条件を付けて勝負に応じる意思を示す。
「良いだろう勝負してやる。…ただし条件がある。俺が勝ったら俺のレギオンに入ってもらうぞ?」
「な!?俺に群れろっていうのか誰がそんな提案…!!」
「負けるのが怖いのかな?」
「なんだと!?」
「勝てばいいんだから問題はないだろう?断るってことは自分が負けると思ってるんだ」
「そんなわけねえだろう。いいだろうその条件で受けてやる!!」
ちょろいな…俺は心の中でそう思った。これほど動かしやすい逸材はいないだろう。だが言質は取った。これで心置きなくぼこぼこにすればいい。
今までたまった鬱憤も同時に晴らせると分かり俺の心は晴れやかだった。すぐに第一訓練場を取りその場へと向かった…。




