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的当てデュエル


 「お疲れ様」

 「お疲れ様です」

 「凄かったですねー鏡の所、全然答えに気づきませんでした」

 「おう、ありがとな。まあ、俺ならどうってこともないさ」


 戻ってきた俺はユーリ達に労われていた。勝ったことにちょっと自慢げになりながらそう言う。するとミストが立ち上がった。


 「次は私の盤ですね!」


 意気込み会場と向かうミストに俺は自然と声をかける。


 「頑張ってこいよ」


 それを聞いたミストは大きく頷いて言った。


 「はい!!」


☆☆☆


 「お主、若者じゃな?」

 「は、はい若者です!!」


 会場で開始までの時間を待っているといきなり話しかけられた。相手を見てみるとクリアバーテックスのジジーさんだった。


 「少し、聞きたいことがあるんだがよいかのぅ」

 「はい、大丈夫です!!」


 するとジジーさんは酷く真面目に悩んだ顔で言う。


 「若者の目から見てワシはどう見える?」

 「え、ど、どうって」


 どう答えるべきなんだろう?


 「ん~と、魔法使いみたいです。あの流行った小説の魔法使いみたいな」

 「ほう、そうかワシは流行に乗った格好をしているか!」

 「え!?流行には乗って…」

 「そうか、そうか、良かった。良かった。何、エイトの小僧がの、ワシの格好古いっていうから心配だったんじゃ」

 「そ、そうですか」

 「ところでの」

 「は、はい!」


 次はどんな質問が来るんだろうかと内心ビクビクしながら聞く。


 「お主はどんな風に的を壊すのがかっこいいと思うかの?」

 「え?それは、ババーンと一気に全部壊すのがかっこいいんじゃ無いんですか?」

 「ほうほう、なるほど。一気にかの」


 そう言ってそのまま納得するように立ち去っていくジジー。思わず私は声をかけてしまってた。


 「え、それだけ!?」

 「む、それだけじゃが?」

 「その~私に聞く必要があったのでしょうか?」

 「お主である必要があって、必要がないの?」

 「えーと…」

 

 どういうこと?


 「うむ、つまりじゃ。ワシは別に誰に聞いても良かった。ただ、他の人の意見を聞きたかっただけじゃからな。じゃが今の答えはお主にしか出せないことじゃ。だからお主の必要はあった」

 「は、はぁ」

 「人の意見を聞くのはいい。何か見たりして感じる感性は人それぞれだからの、他人の意見を聞くことで自分に無いものを埋めることができるのじゃ。そうやって自分を補うことを続けることこそ、ワシの若々しさの秘訣という奴じゃな」

 「なるほど」


 素直に感心できる話しだ。何かを表現するためには常に情報を仕入れて自分を新しくし続けないといけないということか、憧れを形にしても、何も変化が無ければ最初のまま停滞してしまう訳だし、そう言う面から考えても客観的な評価を貰って自分に付け足していくというのは大切なことってことかな


 「そう言えば、お主、コンテストデュエルに出ておったな。ミストワークの使い方は姿を隠すだけでは無い、探してみるのも楽しいと思うのじゃ」


 そう言って、ジジーさんは今度こそ立ち去っていった。

 まあ、言いたいことは分かったけど…


 「なんだか独特な人だな~」


☆☆☆


 『さあ、残す種目も少なくなってきました。次の種目は的当てデュエル!では早速解説と行きましょう』

 『はい、では解説をはじめま~す。的当てデュエルは、単純に言えば的を破壊することを目的とした種目です!ドローなしの手札五枚を効率よく使って、制限時間内に的を壊していくことになります。的を壊すとその的の位置、的を破壊したときの威力、同時撃破数、コンボ数などからポイントを計測します!そのポイントの高いプレイヤーを上から順にランク付けして勝敗を決めます!!』

 『的の中には動いたり、条件を達成しないと現れないものもあるので注意が必要ですよ~』

 『的を壊して壊して壊しまくる。それが~』

 『『的当てデュエル』』

 『では、早速一人目の挑戦者から行きましょう!!』


 「ワシじゃな!」


 最初に挑戦するのはジジーさんだった。彼が壇上に立つのと同時に的が出現する。


 「ククク、魔道の深淵を見せてやろう、ククク…」


 既に自分の世界に入りきっているジジーさんはそう言うと三枚のカードを手に取る。


 「ラルカ式、一式魔方陣、二式魔方陣、三式魔方陣」


 すると三つの魔方陣が生まれ、それが重なり合っていく。


 「絶魔、ラルカ式、特異魔方陣」


 その言葉と共に特大の魔方陣から魔法が放たれた。思わず息を飲んでいるとそれは多くの的が密集する中心部に当たる。


 「かっこいいのは全部同時、まだじゃ、ラルカ式、九式魔方陣、ついでにエンチャントパワー。…これでいいじゃろう」


 そう言うとバッとマントを羽ばたかせ演出する。同時に最初の魔法に九式魔方陣がぶつかり、爆発が起こる、その爆発がエンチャントパワーによってより大きくなった。


 光が晴れるとそこには粉々にされた的達が散らばっていた。


 「カードは尽きた。移動する気は無い、制限時間は残っているが終わりじゃ」


 有言実行、ジジーさんはかっこよさを求めて全部同時を目指したのだった。


☆☆☆


 時間となり、私の番となる。

 指定の場所に着き、辺りを見回した。


 (この位置からは全部の的はみれないんですね)


 私は取り敢えず手札を確認する。


 <M-ダーク・レイ…闇の光線を放つ。うちの商品は悪の組織御用達!!>

 <M-キャッチ&リリーフ…対象を捕えて飛ばす。ちゃんと捕まえたら離さないとだめだぞ>

 <M-ミストワーク…霧を生み出し視界を覆う。やだ…地味に濡れる…迷惑な技だわ>

 <I-魔法のほうきmk1…空を飛ぶ魔法のほうき。付属品でパンがついてきます>

 <A-スターキック…上空からキックを行うアビリティ。高く飛んでいるほど衝撃波が大きくなる。ヒーローなら誰でも使える悪を滅するスーパーキック>


 

 (ミストワーク…!別の使い方って言ったらやっぱり王道のあれですよね!取り敢えず、場所を把握しないと!!)


 『では開始です!!』

 「魔法のほうきmk1」


 始まりと同時に私はほうきにまたがり空に舞う。まずは的の場所の確認だ。的はそれぞれの場所に散っていて上手い具合に壁に隠れている。また氷の中にある的などや半透明な的など特殊なまとも多い。その中で私の目に入ったのは鋼鉄製のとても堅そうな的だ。


 「ああ言う特殊な的の方が得点が高そうです」


 狙うなら、あそこか私はそう思い空高く上がる。

 

 (まずは一撃、一番威力のある一発であれを壊す!)


 「行きます、スーパー!スターキーーーック!!」


 そしてほうきから飛び降りてその勢いのままキックを繰り出す、高ければ高いほど威力の上がるけりは鋼鉄製の的を貫き、衝撃波を引き起こす、その衝撃波でさらなる的が割れたことを確認した私は、続いて別のコンボを出す。


 (カードにはいろいろな使い方がある、説明に明記された以外にも効果そのものの特徴から使える方法がある!)


 「ミストワーク!!」


 辺りを霧が覆う、そして私はそこから飛び出すと霧の結界に向けて魔法を放つ。


 「ダーク・レイ!そしてキャッチ&リリース!!」


 ダーク・レイが霧の結界の霧に乱反射して辺りに飛び散る、それは周囲の的を焼いた、そしてキャッチ&リリースで結界を動かすことでさらに様々な範囲の的を破壊する。

 そうミストワークの別の使い方は屈折装置としての使い方だ。視界を塞ぐほどの濃さで尚且つ、結界としてまばらにある霧はダーク・レイを無差別に屈折させて、複数攻撃を可能にするのだ。そしてキャッチ&リリースは魔法であろうと対象にできる。結界を対象にすることでさらなる無差別攻撃を可能としたのだ。


 私はこの攻撃で一通り、破壊した跡、時間いっぱいまで歩いて破壊して回った。結果は中の中だったが、自分の新たなやり方を見つけられたし、キックをかっこよく決められたので満足した戦いだった。


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過去作紹介

結城中学ロボ部!!
学園×スポーツ×ロボット×VRMMO! 仮想現実の世界で巻き起こる少年達の熱き戦い!

おすすめ短編集
『ハーレムなんて絶対いやだ!』や『プロ・ゲーマー ノリ』などがあります
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