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番外編 オフ会

 『カードゲームを教えて欲しい』


 フレンドチャットで突如ユーリに言われた俺は彼女を行きつけのカードショップに案内するため彼女を駅で待っていた。


 (ふう、とりあえず来てみたもののあっちは俺のことわかるかな…ゲームじゃ少年アバタ―だけどリアルじゃおっさんだもんな一応目印の赤い帽子をつけてるが…)


 俺はそんなことを考えながらボーと前を見ていた。そんな俺を誰かがつついていることに気づきそちらへと視線を向ける。そこにはちょうど小学生くらいの黒い髪を肩ほどまでおろした将来美人になるだろうかわいらしい幼女がいた。


 (なんだ、迷子か?いやだな…こういうのってただ親切に話しかけただけでも周りからは不審者に見えるんだよな…とりあえず警察所を教えればそれでいっか)


 俺はそう考え幼女へと声をかける。


 「嬢ちゃん悪いんだけど迷子ならあっちに交番があるからそっちで聞いて」

 「嬢ちゃんじゃない優理」

 「ん?この掛け合いは…」


 俺の言葉に対するこの切り替えし、俺の心の中でまさか…という思いが沸き起こった。


 「もしかして…ユーリ?」

 「ん、お待たせ」


 そうこの幼女こそVRチルドレンにしてブレイブカードで俺をぼこぼこにしたユーリだったのだ…。


☆☆☆


 「まさかユーリがこんな年も取ってない幼女だったとは…」


 俺は頭に手を当てながら呟く


 「私も彼の中身がおっさんだと思わなかった」

 「おっさん言うな!!自分で言うのはいいけど他人に言われると悲しくなるんだよ!!」


 俺たちは今カードショップへと向かっている。その間にお互いの自己紹介を澄ましていた。


 まったくこれだから最近の若い者は…とぶつくさといって振り返るとそこには優理の姿はなかった。


 「あれ?優理??」


 俺が見つめる先で人の波に優理は押し流されていた。


 「ちょっと~!!」


 俺は急いで追いかけて優理を確保した…。


☆☆☆


 「むう、手を繋がなくちゃダメ?」

 「ダメだ。また迷子になるぞ」


 俺と優理は今手を繋ぎ歩いている。きっと周囲からは親子に見えているはずだ。…見えているよな?


 俺は急に不安になった親子に見えなかったら俺は幼女の手を引くただの不審者だいつ警察に御用になるかわからない。気づけば俺は冷や汗をだらだらと流していた。


 「?大丈夫??」

 「ああ大丈夫だ…大丈夫なはずだ…」


 そんなこんなで俺たちはカードショップのあるビルへとたどり着いた…。


☆☆☆


 「古い建物だね」

 「まあな。カードショップってなぜかこんな古いビルの中にあるんだよな~」


 俺たちはそういいながらエレベータの中に入る。正直このエレベータ大丈夫か?と思いながらもなんとかカードショップのある階にたどり着いた。


 「店長いるか~??」


 俺は中にいる子供のころからのなじみの店長に話しかけれながら中に入る。


 「いるよ~。」


 そうして俺たちの前に出てきた店長は優理を見て固まった。


 「そんな…いたいけない幼女を連れまわすなんていまからでも遅くない一緒に警察に行こう」

 「いや、連れまわしてね~よ!!」

 「じゃあ隠し子かい。まさか君にそんな甲斐があったとは…」

 「ちげーよ!!なんで親子って発想が出る前にそこにたどり着くんだよ!!」

 「じゃあ、彼女はいったいなんだい?」


 店長がそういった所で俺はやっと冷静になり話始めようとする。その間優理は店舗をうろうろしながらひたすらカードを散策していた。


 「彼女とはブレイブカード内で知り合ったんだ、カードゲーム知りたいっていうからここに連れてきたの」


 店長はそれを聞いて全てを理解する。


 「なるほど…VRチルドレンか彼女は…」

 「いつもいわれるけど…VRチルドレンってなに?」


 彼女はどこか不機嫌になりながらそう説いてきた。店長は俺に目線を送り説明してやれと言う意思を込める。俺はやれやれと仕方なく説明を始めた。


 「VRチルドレンってのはな~一種の新人類だ」

 「新人類?」

 「そ、新人類。VRゲームを成長期にプレイすることで身体能力、思考能力、精神力が極めて高くなる者のこという」

 「VRMMOをプレイしてなんでそんなものが高くなるの?」


 彼女のその言葉に俺は顎に手を置き答える


 「ふむ、学説的には仮想現実の中で体を動かす際、電気信号を装置で感知して動かすんだつまり、仮想とはいえ元の肉体の脳は普通に肉体を動かすのと同じ処理をしてるわけだなだから仮想の肉体を動かし続けていると脳がそれが現在の体の状態だと誤認する。一種の錯覚の現象だと言われているんだがな。それによって元の肉体を動かすときにもその仮想の肉体の時と同じ電気信号を送ってしまうんだ。大人になった後なら問題がないんだが子供…16歳以下の時にその症状が現れると今度はその電気信号を正しい肉体の変化だと勘違いして肉体が仮想の肉体に近づくように最適化される…それによって普通の人よりもあらゆる面で優れた…いわゆる天才が誕生するわけだな」


 「ふーん。ならいいことづくめだね」


 少し自虐するように優理は呟く。店長は苦笑しながらそれを否定する言葉を放った。


 「まあ、そんないいことづくめなわけでもないんですけどね。電脳アレルギーや社会の問題があるから」


 「電脳アレルギー?社会の問題?」


 再び優理が疑問を顔に浮かべたので俺が説明する。


 「電脳アレルギーってのはいわゆるVR酔いの一種だ。VRをプレイしている時体調が悪化したり、プレイ後悪化したりするもののことを指す。まあアレルギーと名がついているが実際は軽いものではなく重症化することも多いんだがな。プレイしたVRによって起こる症状が様々でお偉い方々が症例をまとめて定義しきれなかったからどうせVRで起こるんだし全部まとめてアレルギーでよくね?ってことで電脳アレルギーって名前になったらしい」


 「今の時代なんでもVRですからね~なると大変らしいですよ」

 「ん??店長電脳アレルギーの知り合いでもいるのか?」

 「最近ここに来るようになったちょうど彼女くらいの子供がそうらしいんです」


 俺はその子に起こった出来事を想定し少し暗い気持ちになる。


 「そうか子供で…大変だろうな…」

 「そうですね。大変だったみたいですよ。今も病院通いだそうですから」

 「??何が大変なの??」


 優理が純粋な目で俺を見てくる俺は一瞬言うかなやんで結局言うことにした。


 「さっきも話しただろうVRチルドレンの話。もう今の時代は簡単に人が天才になる時代なんだ。そんな中体質的な問題でそれをすることが出来なくなったら…まあ色々な問題が起こるんだよ。例としては子供をVRチルドレンにするために電脳アレルギーの子供に無理やりVRをプレイさせることだな。アレルギーが悪化して重傷化しやすい。いま世界各地で起きている社会問題の一つだ。認められないんだろうな自分の子が他人に劣ってるのが」

 「方や天才のVRチルドレン、方や社会からつまみ出された電脳アレルギー…、そういった問題だけではなく、今では学校などでVRチルドレンに電脳アレルギーの子供が支配され酷使されているといった話もよく聞きます」

 「あ、それ俺も聞いたことがある。なまじVRチルドレンは頭いいから教師すら論破して学校を支配してるんだよな。それにあいつら自分を天才だ他者が自分より劣ってるって考えばっかだから俺たちのいわゆる親世代としょっちゅう対立する。あったばっかのころのユーリもそんな奴だったもんな」


 俺の言葉に優理はむっと顔を膨らませた。


 「私が最強なのは当たり前」


 ない胸を張りながら言うその姿に俺は思わず吹き出し。頭をなでながらそうだよな最強だよなと呟く。優理は子供扱いされたことにさらにムッとなっていた。


 「まったく社会ってのはやなもんだよ。俺らの時はゆとりだゆとりだってばかにされてきたのにいざ天才が生まれる時代になったら傲慢だ傲慢だって。お前らそれなら何ならいんだよって感じだよな。中には自分の子供を化け物扱いして捨てるやつもいるらしいぜ」


 俺がそういったとき、優理が一瞬ピクリと震えた。俺と店長はそれを目撃しつつも無視をして話を続けた。


 「まあ、もともとゆとりかどうかなんて関係なかったということでしょう。私の時代でもああいったバカな輩はいましたしね。ただ自分たちの方が優れていると示すのに便利だからゆとりを使った…そういうことでしょう」

 「まったくこっちとしてはいい迷惑だぜ」


 やれやれと手を振っていると優理が俺の服の端を掴んで引っ張ってくる


 「むう、お話飽きた。さっさと始めよう?」

 「ふむ、まあ子供にはつまらない話だったか。それにしてもなにを教えるつもりだい?」


 店長が俺にそう聞いてくる。


 「俺的には有機皇が好きなんでそれを教えたいんですけどブレイブカードに近い形ってなるとデュアルマター通称デュアマかパティ―ファイブなんですよね。まあ教えやすいから有機皇から始めるか」


 俺はそういって有機皇のカードが置かれている場所に移動する。


 「ここが有機皇カードコーナーだな、とりあえず色々アドバイスしてやるからこんななかから適当に選んで40枚でデッキ作れ。基本は同じテーマのカードで集めたデッキが強いからな」

 「ん」


 そういっていそいそとデッキを作るユーリに嫌がられながらもあーだーこーだ口出してアドバイスした。


☆☆☆


 「俺は巨兵皇を特殊召喚!!」


 その言葉と同時にコストに使ったモンスターカードをどけ巨兵皇を召喚した。


 「どうだやったぞ!!店長!!て~んちょう。俺遂に3巨兵全て同時にフィールドに出して見せました」


 俺はアニメで見たように三体そろったモンスターに歓喜の涙を浮かべる。このカードはそれぞれ高コストモンスターで一体ならまだしも三体をそろえるのは例えファンデッキでも難しいのだ。


 そんな俺の様子を見た店長が苦笑いしながらやってくる。


 「はいはい、一応仕事があるんですからね私にも」

 「いやだってこれは自慢すべきものでしょう!!」


 俺らがそう言っている中一人じっとしていた優理が突然言葉を放った。


 「ん、もういい?はい。民の警告。効果で召喚無効」

 「はあぁ!?何してくれちゃってんの!!空気よんでよ3体そろったんだよ?無敵の耐性なんだよ!?」

 「無敵の耐性でも召喚を無効にすれば意味がない。私のターンでいい?」

 「そりゃ正論だけどさ、くっそ~」


 店長はそれを見てポツリと一言呟く


 「どっちが子供かわからないなこりゃ」

 「なんだと!?俺はただ少年の心を持ち続けているだけだ!あ、その攻撃このカードで防ぐね」

 「むう、やる」


☆☆☆


 そして気けば外は夕焼け色の景色になっていた。


 「お、もうこんな時間が時が立つのは速いなー」

 「そうですね。そろそろお二人とも帰ったほうが良いじゃないんですか?優理さんは子供ですし」

 「そうだな。そろそろ帰るか優理?」


 俺の質問に優理は


 「まだまだ大丈夫」


 と簡潔に言う。


 「まだまだ大丈夫じゃないだろう。そろそろ帰るぞ」


 俺はそういって優理の手を握って引っ張る。彼女は抵抗して残ろうとする意外と力が強い。


 「むう、まだ」

 「まだ、じゃない。また今度遊べばいいだろう。今日はもう終わりだ」


 俺が言うと一瞬きょとんとした後、優理は頭を縦に動かし納得した。


 「また今度なら仕方ない」

 「それじゃ、帰りますわ店長。次来る時までちゃんと見せ持たせておいてくださいよ」


 俺は冗談を言いながら帰り支度を始める。


 「大丈夫ですよ。もともと年金貰ってる老人の楽しみとしての運営ですからね~儲けとかは関係ないんですよ。私は昔を懐かしむ方たちとVRをやれずに苦しむ電脳アレルギーの方、そして何よりもカードゲーム好きの人の居場所になれるだけで満足ですから」


 それは寂れ、ほとんど見られなくなった生き残りのカードショップの店長の心からの言葉だった。


☆☆☆


 「ふーむ、何か悟った感じの人だった」

 「まあ、そうかもな。あそこまで生きれば俺もあんな風になるんかね」

 「今でそれだから多分無理」

 「なんだと!!」


 俺は今、優理と話ながら家に帰っているところだった。あたりは暗い。とりあえず優理の家の前まで一応送っていくこととなっていた。


 「こういう時、車があれば速いんだろうけどな」

 「持ってないの?」

 「ああ、使わないからな。家で自営業のアプリ製作者しているんだ。それに世の中ほとんどはVRで事足りるし外に出ないんだよ。」

 「ふーん」

 「外に出るなんてさっきのカードショップ寄るぐらいだからな。家からも近いし」

 「ん?家ここから近いの?」

 「ああ、あそこに見えるマンションの三階の端の部屋だ」

 「へー。結構よさそうなマンション」

 「他に金を使うことも無いからな、日がな一日ほとんどいるしいいところを選んだんだ」


 会話をつづけながらも二人は歩いていく。


 「じゃあ、なんでこっちまで歩いて来てる?」

 「お前を家まで送っていくために決まっているだろうが」

 「そんなのいらない」

 「一人で送り出して何かあったら親御さんに申し訳が立たないだろ」

 「別に…いやなんでもない」


 俺はそう言った優理をしっかりと観察していた。この反応やはりそうなのか?でも例えそうだとしても俺が立ち入って良い問題じゃない。

 それから俺たちは特に会話することもなく優理のマンションに着いた。


 「ここが優理の家か」

 「ん」


 俺は窓に明かりがついてないことに気付いた。だがそれを無視し会話を進める。


 「じゃ、またな」

 「うん、またね」


 俺にできることと言ったらまたカードゲームで一緒に遊ぶくらいだ。俺は再び遊ぶことを約束して家へと帰った。


☆☆☆


 「ふう」


 俺は仕事を終え一息ついた。画面には今しがた作成したアプリが映っている。


 「とりあえずこれでまたしばらく何とかなるかな?…っと」


 そう呟いた時、チャイムが鳴った。


 (うん、この時間の配送は依頼していないはず…なんだセールスか)


 俺はそのまま動かずにそこにとどまった。さて暇な時間が出来たしデッキを弄るか。外を無視して作業を開始する。自宅で活動しているとセールスがひっきりなしでやってくる。居留守も使うのも智慧の一つなのだ。


 だがその日はいつもと違った。


 ピンポーンピンポーンピピピンポーン


 リズムを刻むように連打されるチャイム。最初は我慢していたがついに怒った俺は扉を開けた


 「あんたね、嫌がらせはやめてくれよ」


 だが扉を開けた先には誰もいない。不思議に思い視線を下に下げるとそこには一人の幼女がいた。


 「あんたじゃない優理。隣に引っ越してきたこれからよろしく」


 俺は驚きのあまり口をパクパクする。


 「引っ越してきたってお前な~」

 「約束した」

 「え?」

 「また今度って」

 「あ、ああ」

 「だからやってきた。カードゲームしよ?」


 そういって優理は俺の部屋へと勝手に入っていく。俺は止めようとして振り返った彼女の溢れんばかりの笑顔を見てやめた。


 「まあ…いいか」


 今日もデュエリストはカードゲームを楽しんでいく…



 番外編オフ会終わり

電脳アレルギーの子供

お話が続いていたら出てくる予定だった子供

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結城中学ロボ部!!
学園×スポーツ×ロボット×VRMMO! 仮想現実の世界で巻き起こる少年達の熱き戦い!

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