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隻眼の竜  作者: 白木
96/938

治療

「それでは、発表します。本日の東神原連合会会長杯の優勝は・・分速889.653メートル。矢内さんです!」


 おおっ!会場内がどよめいた。小谷も驚いていた。何と、尤も難しいレースと言われるこの400キロ会長杯、競翔を今春始めたばかりの矢内が優勝するとは、余りにも凄い快挙であった。2位が僅差で小谷、3から6位が川上氏、7位が佐野、8位郡上、9位高橋、10位穴吹だった。


「こりゃあ・・いよいよ本物だなあ、健ちゃんのヤンセン系」


 小谷が言うと、周囲も認めた。ここは、フロックで優勝出来るようなコースでは無いからである。東神原連合会の中心メンバーで占められた上位を見ても明らかだ。

 この夜、少し遅くに磯川から矢内に電話が入った。矢内の初優勝を祝っての事だ。

 これは、磯川にとっても嬉しいニュースであった事は当然だろう。

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