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最終章
夢語れば、尽きる事はありません。理想を追求すれば果てもありません。この世に生きる限り、喜びや楽しい事ばかりはありません。むしろ苦しい事の連続です。でも、生きると言う事は、どんな時代にも前を向いて希望を持つ事です・・・
その余りに痛々しい姿に声を上げて泣いた矢内夫妻だった。
戻って来た隻竜号は、3ヶ月の間どこでどう過ごしたのであろうか。胸に大きな傷を受け、体は真っ黒で、殆ど視力も無かった。
「こんな姿で・・こんな姿になって・・うう・・くくく・・隻竜号、良く戻って来た」
その報は、磯川に伝わり、佐野、小谷、佐川、川上氏が駆けつけた。
そして、帰還後7日目、隻竜号は必死の矢内夫妻の手当ても虚しく、没した。




