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最終章
和やかな談笑が続いていた。友人として、競翔仲間として。天が与えた2羽の俊鳩の飼育者として。
「いやはや・・まさか同じ狙いとはねえ・・あはは」
佐川が笑う。矢内も笑う。
「はは・・この峠からの放鳩訓練は俺一人って思ってましたよ、佐川さん」
「いやいや・・私もそう思ってた。狙いは一つですよね、矢内さん」
「菊花賞です、ズバリ。今年の出来はなかなか良いですし」
「おほ・・言うね。でも、矢内君程の鳩舎だったら、もっともっと活躍してた筈だ。かなりこの数年押さえた作出数だったですしね」
「佐川さん、今秋は?」
「結構居ます、68羽かな・」
「多いですね・。しかも、粒が揃ってますよね」
「かなり種鳩も絞って来たですからね、自分なりに交配を考えて見ました」




