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最終章
「何となく・・分かって来ましたよ、日下部さん」
香月が言うと、日下部氏も
「速水さんが、亡くなり、そして奥さんとご子息が地元を離れ・・でも、どうする事も出来なかった当時の金石さんの気持ちは、私にも伝わった。だからこそ、金石さんは、力を・・権力を握ろうと努力したんだと思う。彼は、自分の選鳩眼を、何度も失敗を重ねながらも培って来たのだろう。それには感服もするよ。だが、その手法は相容れない所もあるけどね」
「じゃあ・・ゆくゆくはその子息である速水君に、速水蜂系を返そうって思ってたのかい?」
川上氏が聞く。
「どうですかねえ・・それは本人に聞かないと・・。でも、血と言うか、速水君が川上さんの所で現実にその血統を飼育している。今回のこの鳩達を見ても、当に速水蜂系の真髄だろうと感じますけどね」
それは、香月も同感と頷いた。
「そう言う約束はちゃんとしていたんですね、田丸さんと」
香月が言うと、




