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隻眼の竜  作者: 白木
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最終章

 川上氏は、全てに少年の心を持つ偉大な競翔家だった。それは、自分が対する家族、動物、全ての人に対する滲み出る応対と笑顔・・安心と心地良い感情を与えて行く・・。


 数日後、矢内は、今春作出の子鳩の状況を確認する為、佐野の所を訪問していた。丁度若手競翔家達が帰った後で、入れ替わりになったようだった。


「あ・・矢内さん」


 佐野が一礼をする。鳩舎外から金網越しに覗いている佐野の横に、矢内は立った。


「今春の仔取りはどう?佐野君」


 矢内が言うと、そのまま視線を鳩舎内に向けたままで、佐野が


「それがですね、今春は12羽だけです。少し思う所がありまして、来春に向けて秋に仔取りを集中させようかと思って」


 その言葉には、実績ある佐野鳩舎の自信のようなものが感じられた。


「ははあ・・いよいよ、佐野系へのステップアップですね?」

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