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明日はやって来る
「さて・・白虎号を中心とした3羽・・そして嘗て同じコースを選択したスプリント号。私は、必ずしもこの鳩達が正しい選択をしたとは思いません」
「え・・?」
香月の思いがけない言葉に、全員が注目した。楽しい筈の祝勝会が一変する。
そこへ香織と、幸子が加わった。場の空気を感じたからだった。
「さあさあ、折角のお料理だし、こうして皆さんが集まって楽しい席です、どうぞ」
香織が酌をすると、又会話が始まった。香月は、自分の言葉を慌てて継ぎ足した。
「言葉が足りませんでした。こう言い換えましょう。全ての動物は、後世に生を繋ぐと言う・・つまり、役割があります。もっと申せば、DNAがそうプログラミングしているからです。この時の選択の正否を問うものでは決してありませんが、1つだけ・・」
「1つだけ?」
4人が身を乗り出した。




