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明日はやって来る
「いいえ、予測せずに磯川さんが、訓練を行った訳では無いと思います。法皇の滝、垂直落下を頭に浮かべた筈です。何故なら、磯川さんは、パイロン3世号と言うの不世出の鳩に、どうしても出来なかった事が御有りの筈。それはCHレース当日帰舎でしょう?」
「く・・くくく・やはり君には何も隠せないよ。ああ・紫竜号と言う怪物だからこそ当日戻れたのだとは俺は考えたく無かった。それは、きっと帰舎ルートだと徹底的に研究したよ。そして、CHレース当日帰りを達成出来るコースこそ、村岡鉱山跡地と言う鬼門。そして、更に法皇の滝制覇しか無いと思った。けど・・俺は、矢内さんが使翔する隻竜号には、何も望んでは居なかった。どう征服するかは、個々の鳩の気質だけだろうと思っていた」
香月は、小さく頷いた。そして、佐川に
「佐川さん、どう思われましたか?黒竜号の法皇の滝垂直落下を。隻竜号と同じくその鳩の勇気を・・」
「身も凍る高さであり、轟々と落ちる滝に向かってまさか・・私は咄嗟に、死を選んでしまったのかと思いました。再び体が震えました」
矢内もそれは同じであった。




