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治療
このように、周囲に一流の競翔家が居る事で、安心して矢内は競翔に参加する事が出来ていた。大連合会なのに実に細やかな会員同士のコミュニケーションもとれていて、非常に和やかな雰囲気であった。それは、頂点とする川上氏の深い人望ある人徳や、連合会を構成する人材の豊富さ、多彩な顔ぶれであろう。矢内が学ぶ事は少なく無かった。
そして社内でも、矢内の存在は急速に大きくなっていた。
「ねえ、ねえ、矢内って、部課長会議で組織の編成を提案したらしいわよ」
町田がどこから仕入れた情報か、女子社員に話している。
「・・一体どうなってんの?矢内ってば、頑張り過ぎじゃない?」
「数ヶ月前までは、本当に駄目社員って感じだったのに、マジで凄く変ったよね」
本気で、女子社員の中には、矢内にアタックする者も出始めたようだ。
「ねえ、町田さん。矢内さんとはもう付き合って無いんでしょ?」
新山美恵と言う、町田より一期下の女子社員が訊ねた。
「ええ」
「私、アタックする矢内さんに」




