864/938
魔窟への誘い
奇跡は起きた。若き俊鳩達に・・本当のGCレースの覇者達とは、この5羽では無かっただろうか・・
「黒竜!黒竜号!」
後から方向転換したもう1羽を加えた天空の4羽は、天高く舞い上がる竜巻のように消えて行った。
そして黒竜号は、滝に身を投ずるように一瞬で視界から消え去った。
ぶるぶると体を振るわせる2人がそこに立って居た。
「わしは・・奇跡を3度・・こんな事が・・」
村岡氏が呟いた。
呆然と体中の筋肉、全精力を費やしたかのような佐川が無言で震えていた。
その視界から消え去ったと言う報は、村岡によってただちに磯川に告げられ、4日目午後2時43分、黒竜号帰舎・・鳩舎には矢内が待っていた。続いて白虎号他3羽帰舎。それぞれ4時前後であった。




