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治療
「健ちゃん、良く頑張ったよな。でもね、競翔ってのは、そんなに甘いもんじゃないからね。そうそう、入賞なんて出来るもんじゃないって事は承知しとけよ、ははは」
「はは。小谷さん、競翔を始めて第一回の新人に、それは厳しい言葉ですよ」
周囲も笑った。矢内が早くも、東神原連合会で名が知れ渡った。頭角を現すのは、すぐの事だ・・。
矢内は東神原連合会の一員として、改めて参加出来た喜びを噛み締めて居た。
そして次週の200キロレース。矢内は、早くも注目されていた。
しかし、この200キロレースは悪天候と重なったが、決行。ここでも恐るべき快分速で戻った鳩が居た。芳川鳩舎のあの鳩である。100キロ、200キロと参加羽数が多い中で、しかも、強豪鳩舎を押えての2連勝は、久しく聞かない快挙だった。ここでも小谷が2位、6位の入賞をしている。矢内は残念ながら、今回は30位以内にも入賞する事は出来なかった。川上氏、佐野は当然の如くに10位内入賞を続けている。




