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魔窟への誘い
「え!村岡鉱山跡地に、5羽が居て、その中に黒竜号らしい鳩が居るですって!」
佐川は、その矢内からの電話で単身、村岡鉱山跡地へ向かった。
佐川の連絡を受けて、村岡は4駆のランドクルーザーのエンジンを掛けたまま、待ってくれていた。
「本当に、5羽の鳩が?」
半信半疑な佐川の言葉に、
「まあ、見たら分かると思うよ。君が飼い主なら一目で分かる筈。そして法皇の滝がどう言う所なのかもね・」
辿りついたその法皇の滝は、切り立った断崖絶壁に囲まれた自然の要塞。そして、轟々と垂直に落ちる滝に身震いした。上空には唸りを上げて舞う風・・その風が何時止むのか、そして5羽が断崖の中の僅かな平地に止まっていた。それは、止む風を待っているかのように・・。
「おお!黒竜号・・黒竜号だ!う・・うくくぅ・・」
愛鳩の無事を確認した佐川の大きな体が震え、滂沱と零れる涙。




