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迷路に・・
磯川は黙って頷いた。そして、
「でも、烏の大群が待ち受けていても、黒竜号の優れた資質ならば、上空高く舞い上がれば、烏はそこまで追って来ないでしょう。それに、烏が異常発生したのには、理由もあります」
「そ・・それは?」
「植田市では、悪質な産廃業者が付近の山に資源ゴミを放置して、現在大きな社会問題に発展しています。烏の異常発生はそれが主原因と考えます。生ゴミまで便乗して捨てているそうですから・・」
「はぁ・・・そんな事も全く知らずに、私は競翔を続けていたのか・・」
「今回の帰還コースは3通り。一番最短コースを黒竜号は通ったのでしょうし、これまでの経緯からすれば、ダントツの1位は黒竜号だったでしょうね。しかし、黒竜号には更に敵に遭遇した痕跡がある・・・」
「まさか・・」
佐川の顔が蒼白になった。
「そうです。隼でしょう。この時期の隼の存在は確認出来ていないのですが、時期外れでも単独で現れる個体も居るでしょう。こう言う場合、大集団を作る鳩達には狙いは定めず、単羽飛翔の鳩を狙い撃ちします。隼が群れだとしたら、これが逆でしょうけど・・」




