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隻眼の竜  作者: 白木
81/938

治療

 2羽の鳩が同時に鳩舎に飛び込むと大慌てで、ゴム輪を外して打刻する。続々とその後も続き、結局参加鳩全てを打刻した。心臓は早鐘のように打ち、まだドキドキしている。

 8時を過ぎて、磯川から電話が入った。矢内の初レースが彼も気になっているのだ。


「あ!若先生、お早う御座います」

「初レース、興奮されたでしょう。どうですか?矢内さん」

「はい!もう心臓がバクバクしてますよ。興奮しました」

「そうでしょう?これが競翔の醍醐味なんですよ。矢内さん、この一瞬を忘れてはなりませんよ」

「はい!忘れません」

「どうでした?今日は」

「それが・・時間を確認してないんです。7時半過ぎから、ばたばたと戻って来て・・結局7羽全て打刻しましたし・・」

「ははは。初々しいお言葉です。でも全鳩、この時間に戻っているとは、凄い。良かったですね」

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