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隻眼の竜  作者: 白木
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次代を担うべき若手

「佐川さん、300キロレースに続く同じステップですね」


 矢内がにこっと笑うと、佐川もにこりとした。


「黒竜号に皆注目してますよ」

「皆さんが、色々言って下さってるのは光栄なんでしょうが・・実際私も黒竜号の使翔法って全く考えて無いんです。今春は、100、300、600キロ、そして矢内さんと同じく1000キロCHレースに参加予定にしています」

「少し意外だなあ・・佐川さんは、色々とご熱心に競翔と言うものに取り組んで居られるじゃないですか。何故黒竜号に使翔法が無いと?」

「あ・・いえ、これは師匠の言葉で、己が正面を見据えて居合いの如く、全霊で向き合う。即ちこれ無の境地にて自然体也・・と。その教えに忠実であればあるほど、矛盾が生じて来るんです、自分に・・」


 側に何時の間にか金石が来て、黙って話を聞いている。


「矛盾とは・・?」


 矢内が訊ねる。


「黒竜号は、長距離鳩だと思っています」

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