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次代を担うべき若手
クンがドンにじゃれついて行くが、ドンもかなり年になっているので、尾を振る程度だった。
幸子と香織が昇星、大希を砂場で遊ばせている間、矢内は空を見上げながら、2匹の犬達を微笑ましそうに眺めていた。
「ふふ・・ご主人は今日のレースが気になるのね、空ばっかり見上げてる」
香織がちらっと矢内を見て、にこりと笑った。
「ふふ。そうなのよ。レースの日には、何時も夜明け前から眼が覚めるのよ」
幸子も笑う。
「私の主人も同じだったわ。もうそわそわしてて・・隣の芳川さんの所もそうなのよ」
くすっと笑う2人の所へ、矢内が犬達と戻って来る。
「香織さん、ドンって何歳になるんですか?」
矢内が突然聞いた。
「え・・と・。今年で・・12歳になると思います」
「・・そうですか。クンは未だ元気一杯の3歳です。かなりもうじゃれ合う相手にはしんどい見たいで。本当にでも賢い犬ですよねえ」




