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隻眼の竜  作者: 白木
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次代を担うべき若手

 その中にあって、長年の地方勤務から地元東神原市に戻り、東神原連合会に再加入した48歳の黒田司鳩舎が初優勝。2位に今春衆目が期待する、小谷ビス号がやはり前評判通りに食い込んだ。そして周囲を驚かせたのは、今春満3歳になる、黒竜号であった。順調な仕上がりとは聞いているが、このスピードはどうだ・・。この3羽が、この激戦の100キロレースの中でも特に他を圧倒し、抜きん出ていた分速であった。芳川の名も10位内に3羽。佐野の名前もある。矢内の鳩も30位内に2羽入っている。順当な仕上がりだと彼自身も思った。

 矢内に佐野が声を掛ける。


「矢内さん、隻竜号は参加されて居られないんですね?」

「あ、はい」

「磯川さんのアドバイスですか?」


 矢内の周囲に何人かが集まった。それは佐川の黒竜号の話に興味があるからだ。

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