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隻眼の竜  作者: 白木
735/938

次代を担うべき若手

 そして、隻竜号にとっては、いよいよ大きな春が間近に迫っていた。

 隻竜号の前には、最強のライバル黒竜号が居る。小谷のビス号も勢いを感じる春。

 四季折々に訪れる光景に、冬の眠りから覚めるように、若草の息吹が日々成長を遂げる春。

 全ての成長は、その暖かい太陽の光線を受けて、一斉に芽吹いて行く。

 合同訓練が始まった。

 佐川は、今春に67羽の過去最大羽数の参加予定だと言う。金石には一瞥をしただけで、佐川は矢内の所に歩いて来た。金石も佐川とは視線を合わせようとはしなかった。


「多いですね、佐川さん」


 矢内が言うと、


「67羽です。秋の競翔に参加しなかったのと、選手鳩からも仔を引きました」

「黒竜号は、順調のようですね。皆が注目してましたよ。みんなは『黒い怪鳥』って呼んでます」

「はは・・」


 矢内の参加羽数も、12羽と今春は少し参加羽数を増やした。

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