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矢内健二と言う男
「・・確かに磯川さんの言われる通りでしょう。競翔鳩としてより、種鳩として育てるのが一番の選択でしょう。何しろ、パイロン3世号の直仔となれば、尚更です。しかし、矢内さんは、どうにかならないかと仰る」
「あの、その鳩を競翔させたいのでは無く、無理なら、無理で・・はい」
だが、香月は、
「矢内さん、こう言う例があります。鳩に目隠しをしてある場所から放鳩しました。しかし、鳩は鳩舎から何百メートル圏内に戻ったと言う事例です。それは、鳩は視力だけでは無く、体内に方向探知する能力がある事を示すものです。普通鳥類は夜眼が利かないと申しますが、勿論例外はあります。鷺の一種ゴイサギ等は夜間飛行出来るのです。競翔鳩もそうです。個体差はどんな動物にもありますが、夜眼が利く鳩も居ます。しかし、全てが見えている訳では無いと思いますが、夜に飛ぶと言うのは、非常に危険なものです。人間界には様々なトラップが待っていますからね。自然界で言えば、隻眼の鳩が生存する確率は無に等しいでしょうね」




