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矢内健二と言う男
この関係は、非常に堅牢で川上親派と呼ばれる師弟の間柄であった。東神原連合会の現在の会員数は326名。日本でも有数の大連合会になっている。しかし、昨今の住宅事情の中、抱える問題も大きい。この新川上鳩舎はその1つで、既に川上氏自身が、様々な事を模索中であった。
矢内は今、来春から参加出来る仔鳩の作出に懸命になっている。
例の仔鳩であるが、磯川から譲り受けてからすくすくと成長し、ヤンセン系第一腹と今、大空を飛んでいるが、その飛翔には、やはり大きなハンディを感じさせた。飛翔スピード、高度において、顕著な違いが見えている。
「・・やはり駄目なのか・・」
矢内は思った。その矢内に朗報が入る。1年振りに香月一男が戻って来るようだ。3ヶ月位は又日本で過ごすと言う話であった。
「それは楽しみ!」
天才競翔家と言われる人物が戻って来る。あの香織さんのご主人・・矢内の胸は高まった。




