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隻眼の竜  作者: 白木
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流転の翔き

 矢内の心配は良く分かる。そう言う小谷は、直前に中止を決めていた。それは、次にステップする地区Nレースへの影響を考えたからだ。そして、順延出来ない事情を抱えた、東神原連合会会長杯400キロレースの存続が、既に危ぶまれる状態だと言う事もある。小谷も、既に東日本GNレースから撤退の方向にある。それは、郡上氏も含めて、急速に連合会内でも方向が変化しつつあるからだ。


「放鳩は午前7時・・今が午後12時半か・・厳しいなあ・・」


 小谷が呟くように言った。とても分速等期待出来るレースでは無い。小雨の上に濃霧、更に風が強くなって来ていた。相当迂回を繰り返しながら鳩群は戻って来ている事だろう。当日帰れない鳩も出るのでは・・そんな予想もされていた。

 そこへ佐野から電話が入った。

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