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隻眼の竜  作者: 白木
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矢内健二と言う男

「ところで、今晩お呼びしたのが、私の磯川ペパーマン系を関西の鳩舎にお預けする話が決まりまして」

「・・そうですか・・若先生と競翔を共にするのが夢だったのですが、残念です。しかし、ご多忙の大事な御身、それも仕方が無い事ですね・・」

「それでですね、矢内さん。貴方にも幾羽か預かって欲しいと思いまして」

「えっ!若先生・・それは・・」

「承知しております。でも、矢内さん。ヤンセン系にはアンダーソン系も交配されているようですね。なら、私の鳩舎にもアンダーソン系が4羽居ります。是非、交配にと思いまして」

「若先生、私のような駆け出し者に、余りにそれは身に過ぎる事です」

「はは・・本当に謙虚な方だ、矢内さんは。しかし、種鳩と言うのは、色んな特徴を持った鳩も必要です。現在貴方の所には4羽の2番。この4羽は、♂鳩1羽で、♀鳩3羽です。♀鳩と言うのは多ければ多い程良い。是非使って下さい」


 恐縮する矢内に、磯川鳩舎からこうしてアンダーソン系・・それもヨーロッパチャンピオンの素晴らしい4羽を贈られたのだった。

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