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矢内健二と言う男
「ねえ、矢内って、最近随分変わって無い?彼女でも出来たのかしら」
「まあ、居ても不思議は無いんじゃない?もう30歳を過ぎてるでしょ?」
「誰か、アタックして見ない?」
「え・・何それ」
「皆が乗らないなら、私、アタックして見るわ」
そう言ったのは、女子事務員の中ではリーダー格の町田幸子。できぱきと仕事をこなす、目鼻立ちの整った美人である。しかし、そのしっかり者故に特定の彼氏が居ないと言う彼女。
「でも・・町田さんと矢内さんじゃ・・」
山野が言う。
「あら、かなちゃん、矢内に気があるの?」
「そんなんじゃないけど・・」
少し気の弱い山野は顔を赤らめた。




