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隻眼の竜  作者: 白木
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流転の翔き

「矢内さん、それは落ち着いてからにしませんか?」

「あ・・はい」


 矢内もすぐ話を止めて、又両手を握り、祈った。磯川がそっとその場を離れた。

 そして、屋上へと。

 ふぅ・・ライターの火を点け、出来るだけ吸わないように心掛けている煙草を一息・・


「罪な男だよ・・香月君。矢内さんには、辛い日々かも知れないのに・・」


 独り言を磯川が呟く。

 幸子の出産はやはり予想外に遅れて、夜半過ぎになった。


「産まれましたよ、男の子です」


 幸子の両親(矢内との結婚式以来、復縁している)も駆けつけて、手を取り合って喜んだ。


「やったね、健二君」

「はい・・有難う御座います」


 幸子の父と笑顔で笑いあう。

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