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序章・・
「先に質問に答えましょう。隻眼の鳥類が、自然界で生き残った、或いは目撃されたと言う話は聞いた事がありません。それだけ、自然界で生き残るには大きなハンディだと言えます。故に、競翔等考えようも無いですね、矢内さん。私は、その鳩を種鳩、もしくは仮母として飼育するか、矢内さんに差し上げたように、希望する人があれば、差し上げようと思って居た位ですから。種鳩として子孫を残すなら、血統的にも、申し分の無い鳩です。次に、矢内さんが競翔に興味を持たれ、やりたいと言われるなら、歓迎しますし、手助けをさせて頂きますよ。それなら、私の鳩舎の子鳩をこの秋からでも使翔されると良い。矢内さんなら、私もお任せ出来ます」
その言葉は、非常に有り難かったが、周囲からの磯川の話を聞いている矢内は、こんな初心者には分不相応と、その申し出には丁重にお断りをした。
それは、身に余る光栄ではあるが、自分は、もう少し色んな事を吸収してから競翔に入りたいと言う理由で。その余りに謙虚な矢内の人柄に磯川は、好感を持った。彼が信用出来る人物だと感じたのだった。




