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隻眼の竜  作者: 白木
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序章・・

 にこにこして川上氏が手を上げた。


「少し疎遠になって居ります。春の競翔はお休みしましたので」

「何々・・、磯川総合病院の今や副院長。激務で大変だろうし、君自身これまでのようには動けないだろうしね」

「はい。来年以降、競翔については中断の形になるかと思います」

「それも仕方が無いねえ・・あ、失礼しました。こちらの方は?」


 川上氏が矢内に向き直る。


「初めまして。今日は若先生・・あの私は矢内健二と申しまして、つい先日まで磯川総合病院に入院していた、患者です。若先生にはその折り、大変お世話になり、今はこうして元気になりました。私は、㈱合音建材の社員です」

「おう、そうでしたか、合音建材さんとは取引もある。このブロイラー跡地をもう少し整備しようと思っていますので」


 川上氏はにこにことして応対した。

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