トウメイナイト 上
ほら、これでおっけー
うん、ありがとう
このイトで結ばれて繋がっている限り、私達は必ず結ばれる
そして、俺はキミの になる
約束だよ?
もちろんだよ、このイトに結ばれてるのが、その証
うん、このイトで繋がっている限り、いつまでも……
「……」
廊下の窓を開け、枠に肘をついて空を見上げる。
青空に雲が浮かび、風に流されてただ進んでいく。そんな景色の空を眺めて……
「ちょっと!」
……いると、隣から分かりやすい怒った声が聞こえた。
「アンタまた当番サボったでしょ!」
あー、そんなこともあったな。
「別にいいだろ、数は足りてたんだから」
窓の外に顔を出したまま、顔を横に向け窓越しにソイツを見る。
「そういう問題じゃない!」
俺を怒るソイツは、属に言う幼なじみ。何かにつけてはこうして怒ってくる。
「サボったことに私は怒ってるのよ!」
「へーへー、すいませんでした。以後気をつけますよー」
「ったく…………ふんっ!」
文句はありそうだが言いたいこと言ったからか、背を向けて去っていってしまう。
「次は気をつけなさいよね!」
と思ったら振り返り指を突きつけて念を押して、そして今度は本当に去っていった。
「……」
いちいちうるさいな……
……でも、
「……」
左手を上に挙げ、手のひらを太陽に透かすように見ると―――
―――まるでガラスに反射した光のような、薄い透明な糸が薬指に結ばれていた。
物心ついた頃から、この透明な糸は俺の手に、指に結ばれていた。
誰かに説明しようにも、透明で見えないし。
取ってしまおうにも、触れることが出来ない。
見えにくいし触れない。決して害は無いのだが、他の人には無いこれと今の今まで共に過ごしている。
そして、ある一つの答えに行きついた。
これは……いわゆる、運命の赤い糸、っていうやつなんじゃないか、と。
「っ……自分で考えて、ハズい……」
けど、他に思い当たらない。そうだろ? 見えにくい触れない指に巻かれた糸なんて、そうない。
なのでこれは、赤い糸(透明だけど)。
という、ことは……
「この糸の先に……俺の運命の人がいる……」
指から糸を見ていくと、その透明差が増して、完璧に見えなくなる。
だから相手がどんな人かなんて分からない……と、思っていたんだけど。
「……」
もう見えなくなるまで去っていった方向を見る。
……前に、ふと、ほんの出来心で、見てしまった時に。
……見つけて、しまったんだ。
トウメイナイト、そのもう片方の先を……
二時間後に、この続きを投稿します。
それで、この作品の作りを理解していただければ、幸いです。
それでは、