夜中の電話
深夜一時。
スマホが突然大きな音を上げた。
「こんな時間に誰だ?」
夢の世界に旅立とうとしていたのに大きな音が鳴ったせいで眠気がどこかにいってしまった俺は、不審に思いながらもスマホを手に取り画面を確認する。
画面には電話番号が表示されている。
「誰だ?」
知らない番号だった。
こんな時間に電話をかけてくる知り合いはいない。
そもそも、俺の連絡先に登録されていない番号から電話がかかってくること自体が珍しい。
しばらく画面を眺めていると、着信音が止まった。
「……切れたか」
ほっと息をはく。
間違い電話だろう。
そう思ってスマホを置いた瞬間、再び着信音が鳴り出した。
「……また?」
同じ番号だった。
さすがに気味が悪い。
そう思いながらも、これ以上睡眠時間を削られるのも嫌なので、俺は意を決して電話に出ることにした。
「……はい?」
『…………』
返事はない。
「もしもし?」
『…………』
言葉を投げかけても何も返ってこない。
なんだ?
疑問に思っている間も電話の向こうから何か聞こえてくることはなく、だんだんと不信感よりも単純な嫌気が募り、俺が電話を切ろうとしたとき。
『ぷふっ』
微かな笑い声が電話から聞こえてきた。
『あははははっ。ビビった? ねえビビった?』
電話から賑やかな声が聞こえてきた。
『いやー、ちょっと友達と飲んでてな。お前のこと脅かしてやろうって話になったわけ。それでお前と電話番号交換してないやつがいたから、そいつの携帯使って電話かけたんよ』
愉快な声が状況説明をする後ろから、もっと楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
なるほど、これはつまりいたずら電話だったと……。
冒頭でも言ったように、俺にこんな時間に電話をかけてくる知り合いはいない。
なんとなく聞き覚えのある声な気もするが、こんな時間に電話をかけてきたということは知り合いではないのだろう。
知り合いでもない迷惑な奴。
そんなやつになら、多少乱暴な言葉をかけても許されるだろう。
『おい、お前もなんか言えって』
電話から聞こえる音を無視して、俺は大きく息を吸い込んだ。
「すぅー」
『ねえ、聞いてる?』
「死ね!」
そう言って、俺は電話を切った。




