第28話 老人二人、仲睦まじく
観客席の上の方。
グリモワルドが、声を上げて笑った。
「あの奥の手を授けても単独一位にはなれんか!かっかっか!」
「グリモワルドか」
隣の隣の席から、白髪の老人が声をかけてきた。フェニックスが出た時点で立ち上がり、壁を砂に変えたその人物——ボルトラン・ヴァイスフェルト。
「久しいのぅ。主席宮廷魔法使い様が、直々にこんなところまで来てどうした。トップ自らスカウトか?」
「アリサはわしの弟子だ。弟子の試合を見に来ない方がおかしいだろう。それより、人嫌いのお前がなぜこんなところにいる。あの爆発娘はお前の弟子か何かか?」
「初めて、弟子なるものをとってみた」
「は……?完全に冗談のつもりだったんだが……。そして、どんな魔法を使ったんだ。あのお世辞にも才能があると言えない娘と、うちのアリサが引き分けなんて……」
「お前の弟子はずいぶん才能があるのぅ。あの歳で、色々維持したまま不完全とはいえフェニックスの顕現をやり切るとは。そこそこ以上のセンスを感じるわい」
「いや、お主の弟子、その才能あるわしの弟子と引き分けになっているんだが……」
「かっかっか!ま、師匠の差じゃな」
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「あと、あの爆裂魔法もどきはなんだ。ほとんど魔力を感じなかった。あれは従来の魔法とは違う————そう、まるでお前がたまにやるような」
ボルトランの声が、少しだけ真剣になった。
「かっかっか、そうじゃな。じゃが、特に不正はしておらんぞ」
「だろうな。お前はそんなことはせん」
ボルトランはそれ以上追及しなかった。——長い付き合いだ。グリモワルドの性格は知っている。ルールの穴はついても明確な不正はしないようなタイプの男だ。
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「——それと、勢いを和らげてくれて礼を言う」
「お主も壁を砂に変えておったじゃないか」
「あれだけで無事に済むとは限らないからな。礼は言っておく」
「相変わらずのクソ真面目じゃのう……」
老人二人の掛け合いは、まだまだ自然と続いていた。




