表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

#1 ~#3| 灯燈ラボ 〜効率至上主義学園のゴミ溜めで、心を拾われました〜』

――その学園で、心(非効率)は罪だった。


管理国家のモデル校「東統学園」に迷い込んだ、毒舌な女子小学生・柚。

そこで彼女を待っていたのは、ゴミ溜めに住まう死にかけのハッカーと、完璧すぎる三人の「家族」でした。


Excelの魔法と、ハッキングの技術。

そして、虹色の靴下が紡ぐ、世界一非効率で温かい再生の物語。


ぜひ最後までお楽しみください。

第1話:【邂逅】


学園の廊下では、常にAIが生成した「最も集中力が高まる」とされるモーツァルトの変奏曲が流れている 。

生徒たちは皆、ウェアラブル端末を装着し、瞬き一つせずタブレットの数式を処理していた 。 一秒でも視線を外せば、端末が振動して『効率低下』を警告してくる 。

それがこの学園の、そしてこの国の正解 。 でも、私にはそれが、ただの『死体の行進』にしか見えなかった 。

「……ふん。勝手に更新アップデートしてればいいじゃない、機械ロボットみたいに」

私は、耳元の端末を乱暴に外してポケットに突っ込んだ 。 アラートがけたたましく鳴り響くが、無視だ 。

これから向かうのは、旧校舎の理科準備室 。 学園の「最適化」から見捨てられた、埃っぽいゴミ溜めへ―― 。

「……ったく、なんで私がこんなところの掃除までしなきゃいけないのよ」

東統とうとう学園、旧校舎 。

最新鋭の空気清浄機と清掃ロボットが巡回する新校舎とは対照的に、ここは時間が止まったようなカビと埃の匂いが充満している 。

私の名前はゆず 。 この学園の「効率第一」という空気に馴染めず、毒舌を吐き続けていたら、いつの間にか教師たちから「問題児」のラベルを貼られ、こんな罰掃除を押し付けられた 。

「理科準備室、だっけ。……絶対に出るわよ、これ。お化けか、あるいはもっと質の悪い何かが」

重い木製の扉を、スニーカーの先で蹴るようにして開ける 。 その瞬間、私の鼻を突いたのは―― 。

古い紙の匂いと、焦げた回路の匂い 。 そして、異常に濃いコーヒーの香り 。

「……は?」

視界に飛び込んできたのは、地獄だった 。

床を埋め尽くすのは、基板の残骸、脱ぎ散らかされたグレーのスウェット、そして壁一面に殴り書きされた理解不能な数式の羅列 。

そのゴミの山の中央 。 一台の古びたオフィスチェアに、男がいた 。

猫背を丸め、ボサボサの黒髪の隙間から、縁の太いメガネがこちらを覗いている 。

「…………あ」

男が、掠れた声を出した 。

その足元。左右で色が違う、派手な「虹色の靴下」が、カオスな部屋の中で異様に浮いて見える 。

「……不法投棄」

「え?」

「不法投棄の現場、発見。あ、もしもし警察ですか? いま、旧校舎に粗大ゴミと一緒に捨てられた不審者が――」

私がスマホを取り出そうとした、その時だった 。 男が、力なく、でも正確に、私の手元を指差した 。

「……その、確率論の課題。三行目の、変数が、間違ってる」

「……へ?」

私が昨日から頭を抱えていた、放り出したはずのプリント 。 男はクマのひどい目でそれを一瞥しただけで、世界の真理を語るような淡々とした声で続けた 。

「……xは、yを裏切らない。裏切るのは、いつも人間だ」

その声は、ひどく掠れていた 。

まるで、かつて誰かに決定的な裏切りを経験し、その傷口を数式という包帯で必死に塞いでいるような 。 数学を語る彼の目は、驚くほど澄んでいて、同時に、今にも消えてしまいそうなほど頼りなかった 。

――それが、私と「おっさん」こと内海零うちうみ れいとの、最悪で、最高にロジカルな出会い 。

沈黙 。 カオスな部屋の中で、一瞬だけ時間が止まったような気がした 。

だが、その静寂を切り裂くように、扉の向こうから明るく、けれどどこか無機質なほど整った声が響く 。

「——内海先生。廊下までコーヒーの匂いが漏れています。私の計算では、あと三分で生徒指導の教師がここを通りかかるはずですが?」

スッと扉が開く 。 そこに立っていたのは、糊のきいた白衣を完璧に着こなした、学園の王子様―― 。

「あ、な、なぎ先生!?」

学園で一番人気と噂の「理科の王子様」は、私を見て優しく微笑んだ 。

「やあ、柚さん。掃除当番、ご苦労様。……うちの『研究員』が、何か失礼なことを言いませんでしたか?」

凪先生はそう言いながら、手にした最新型の掃除機を起動する 。 ゴミ溜めの男――零は、椅子をくるりと回して背を向けてしまった 。

「……凪、遅い。糖分、切れた」 「やれやれ。マスター、わがままが過ぎますよ」

マスター? 今、この完璧な先生は、ゴミ溜めのおじさんのことをなんて呼んだ?

呆然とする私をよそに、凪先生は手際よく零の机に高級そうなチョコレートを置いた 。

「——そういえば、凪先生って、確か半年前にこの学園に赴任してきたんですよね?」

私が無意識に呟くと、凪先生の手が一瞬だけ、本当に一瞬だけ止まった 。 彼はいつもの完璧な、非の打ち所がない営業スマイルで私を振り返る 。

「ええ。半年前です。……この学園に、『真に守るべきもの』があると確信した、あの日からです」

その視線は、チョコを頬張るだらしない男の背中に向けられていた 。

「……はっ。守るべきものって、その不法投棄おじさんのこと?」 「おやおや。柚さん、内海先生はこれでも、この学園の『心臓』ですよ」

心臓 。 学園を冷たく変え、私から居場所を奪おうとしているAI教育の、中枢 。

目の前の男が、私の大嫌いな「効率化」の権化だというのなら 。 ……どうしてこの人は、こんなにボロボロで、悲しそうな目をしているんだろう 。

________________________________________



第2話:【死体の行進と清涼剤】

休み時間 。 新校舎のラウンジは、次の講義の「効率」を高めるためのリラックスタイムに入っていた 。 その中心に、澪がいる 。

「あ、ミオちゃん! 今の計算で脳が熱くなってたんだけど、ミオちゃんの顔見たら一気に癒やされたよ!」 「えへへ、お疲れ様だょ!✨ はい、特製のキャンディ、あげるねっ!」

澪を囲む生徒たちの目は、友情というより、性能の良い空気清浄機を眺めているような、薄気味悪い感謝に満ちていた 。

あの子が笑えば、クラスの集中力が上がる 。 あの子が声をかければ、不満分子のストレス値が下がる 。 学園のシステムは、澪を「生徒の精神状態を最適化するための非公式デバイス」として黙認しているんだ 。

「……反吐が出る」

私は離れた席で、毒を吐く 。 あいつらは、澪が笑っている理由なんて興味がない 。 ただ、自分がスッキリしたいだけ 。

ふと、澪と目が合った 。 彼女は周囲の期待に応える「デバイスの笑顔」をスッと消して、私にだけ、少しだけ困ったような、本当の友達にしか見せない顔で小さく手を振った 。

……あの子は、気づいている。自分が『道具』として愛されていることに。だから私は、あの子をこの『死体の行進』から守ってあげなきゃいけないって、半年前、澪がこの学園に転校してきたその日から、ずっと思ってた 。

放課後 。 夕闇が迫る旧校舎は、新校舎の眩いLED照明が嘘のように、深い影に沈んでいた 。

私は、誰にも見つからないように足音を殺して、理科準備室の扉の前に立っていた 。

(……絶対に、何かある)

昼間の光景が、頭から離れない 。 学園の王子様、凪先生 。そして、あの不法投棄おじさん 。

私は意を決して、隙間風が鳴る古い引き戸に指をかけ、ほんの数センチだけ、中を覗き込んだ 。

「――っ」

心臓が、跳ねた 。 昼間とは、空気が違う 。

カオスなゴミ溜めはそのままなのに、そこには「学園のスター」たちの、見たこともない姿があった 。

「マスター。……演算の負荷が、またレッドゾーンを超えています。無茶をしないでと言ったはずですが」

凪先生の声だった 。 けれど、いつもの爽やかなトーンじゃない 。 冷たい機械のようでいて、どこか必死に感情を押し殺したような、低い声 。

凪先生は床に膝をつき、椅子にぐったりと凭れる零の頭を、慈しむように自分の肩に預けていた 。 その細い指先が、零のこめかみを一定のリズムでマッサージしている 。

「……あ、あぁ。……すまん、凪。……少し、システムが、うるさくてな……」

零が、震える手で自分の頭を押さえる 。 その指の間から見える顔は、苦痛で歪んでいた 。

「零。……あまり凪を困らせないで。これ、冷却用の特製ドリンク。飲みなさい」

さらに、部屋の奥から現れた影に、私は息を呑んだ 。

ほな先輩――生徒会副会長にして、学園一の才女 。 彼女はいつもの冷徹な鉄面皮を脱ぎ捨て、心配そうに眉を寄せ、零の口元にカップを運んでいる 。「……帆か。……悪いな。お前まで、生徒会、忙しいだろ……」 「私のリソースは、あなたの生存が最優先事項。……忘れないで」

信じられない 。 学園を支配している完璧な二人組が、まるでお姫様を労る騎士のように、あのみ窄らしい男を介抱している 。

……いや、違う 。 その光景は、もっと切実で、痛々しい「家族」の姿に見えた 。

「れいにい! れいにい、大丈夫……?」

さらに、ピンク色のサイドテールが、零の膝元に飛び込んだ 。 学園のアイドル、澪だ 。

彼女は零の震える手を、自分の小さな両手でぎゅっと握りしめている 。

「澪が、いーっぱいお歌うたって、脳みそをポカポカにしてあげるからね! だから、めっ、しちゃダメだよ!」

……なんなの、これ 。

私は、扉のノブを握る手が震えるのを止められなかった 。 学園を『死体の行進』に変えたはずのシステム 。 その「心臓」と呼ばれた男は、今、自分の心臓を削りながら、この3人に守られている 。

(……この人たち、本当は何をしてるの?)

その時だった 。 不意に、部屋の中にいた帆先輩の鋭い視線が、私が覗いている扉の隙間へと向けられた 。

「——誰? そこにいるのは」

帆先輩の氷のような視線が、扉の隙間を射抜く 。 私は心臓が口から飛び出しそうなのを必死に抑えて、その場から脱兎のごとく駆け出した 。

(なんで……っ、なんでよ!)

頭の中が、ぐちゃぐちゃだ 。 凪先生の冷たい指先 。帆先輩の献身 。 そして何より―― 。

(……なんで、澪があそこにいるの!?)

いつも隣で「ゆず、おはよぉ!✨」って笑ってくれる、私のたった一人の友達 。 あんな、学園の敵みたいな「効率化の心臓」を、なんであんなに愛おしそうに抱きしめてるの?

背後に広がる旧校舎の静寂が、得体の知れない怪物のように思えて、私は逃げるように新校舎の眩しい光の中へと飛び込んだ 。

――これが、地獄の始まりか、あるいは救いの序曲か 。 その時の私には、知る由もなかった 。

「……なんで、よりによって澪なのよ」

暗い自室で、私は頭を抱えた 。

あの時、零の頭を抱えていた凪先生の、氷のような瞳 。 零の手を握っていた、澪の必死な体温 。

明日、あの子にどんな顔をして会えばいい? ……いや。明日こそ、あいつの正体を暴いて、澪を連れ戻してやる 。

――決意と不安が混ざり合った、人生で一番長い夜が始まった 。

________________________________________




第3話:【虹色の嘘と、5人目のノイズ】

いつも通り、死体の行進が続く廊下 。 向こうから、生徒たちに囲まれた澪がやってくる 。

「あ、ゆず、おはよぉ……!」

澪が声をかけてくる 。でも、その声はわずかに震えていた 。 私が目を逸らさずにじっと見つめると、澪の「完璧なアイドルの仮面」が一瞬だけ、剥がれ落ちそうに歪む 。

(……やっぱり、気づいてたんだ)

澪の瞳には、「隠し事をしていてごめん」という謝罪と、「でも言えない」という悲痛な覚悟が混ざり合っている 。 それを見た瞬間、私の中で何かが決壊した 。

旧校舎、理科準備室 。 昨日と同じように、零が苦しげに息を吐き、3人がそれを支えている 。

準備室の空気が、零の苦痛で凍りついている中、澪がふと顔を上げた 。 彼女の瞳が、扉の隙間に漂う、私の「怒りの匂い」を捉える 。

「…………柚?」

震える声で呟くと同時に、扉が爆発したような音を立てて開いた 。

「――そこまでよ、あんたたち!!」

扉を蹴破って仁王立ちする私に、三人が驚愕の表情を向ける 。

「ゆず……っ」 「澪、そこをどきなさい! 凪先生も、帆先輩も! ……あんたたち、学園のスターのくせに、なんでそんな死にそうなおっさんのために、自分たちの人生までゴミ箱に捨ててるのよ!?」

怒りと、悲しさと、親友への想いが混ざった私の叫び 。 ここで、零がゆっくりと顔を上げた 。

「……柚。……これは、僕が、選んだ……」

「うるさい、この不法投棄おじさん! あんたの勝手な自己犠牲に、澪を巻き込まないで!!」

私の怒声が、狭い準備室に反響する 。 その瞬間、帆先輩が弾かれたように一歩前に出た 。その瞳には、氷のような拒絶の色がある 。

「――部外者が、知ったようなことを。零の何を知っているというの? 私たちは彼に『縛られて』などいない。私たちが、自らの意志で――」

帆先輩の鋭い言葉が私を射抜こうとした、その時 。

「……待て。帆、やめるんだ」

掠れた、けれど芯のある声 。 零が、凪先生の肩を借りてゆっくりと身体を起こした 。

「……いいんだ。彼女の言う通りだよ。……僕は、自分勝手な理由で、君たちの時間を奪っている。……この虹色なかまたちの色を、汚しているのは、僕だ……」

零が、自分の虹色の靴下を自嘲気味に見つめる 。

「違うょ!! れいにい、そんなこと言っちゃダメ!!!」

堪えきれなくなった澪が、私の前に立ちはだかった 。 その頬には、大粒の涙が伝っている 。

「柚……! れいにいは、澪を巻き込んだんじゃないんだょ! 澪が、暗いお部屋で数字だけ数えてた時に……『もういいよ、外へ行こう』って、手を引いてくれたのが、れいにいなの! れいにいの頭が痛いのは、澪たちに『心』をくれたからなんだょ!!」

澪の絶叫 。 私は、言葉を失った 。

澪が「清涼剤」として笑えるようになったのも? 凪先生が「完璧な先生」になれたのも? 帆先輩が「冷徹な知性」を守れているのも?

すべて、目の前で崩れそうに座っているこの男が、自分を犠牲にしてまで、彼らに「自由」という演算を与えた結果……?

「……は? ちょっと待って。全然意味がわからない。心をくれた? あんたたち、さっきから何の話をしてるのよ。……SF映画の観すぎじゃないの?」

私は笑い飛ばそうとした 。なのに、震えが止まらない 。 凪先生が静かに立ち上がり、自分の白衣の袖をゆっくりと捲り上げた 。

そこにあったのは、人間にはあり得ない、白磁のような肌に埋め込まれた精密なインターフェースの端子 。

「……信じられないのも無理はありません。ですが、これが私たちの『真体』です。そして、私たちが今こうしてあなたと対話できているのは、すべてこのソファで眠る男の、命の欠片のおかげなのです」

凪先生の冷たい指先が、私の頬に触れる 。 その温度は、あまりにも正確で、あまりにも優しかった 。

「…………本気、なの……?」

凪先生の腕にある、人間離れした端子。それを見た瞬間、私の脳内でバラバラだったピースが、一つの恐ろしい形を結び始めた。

目の前のおっさんは、世界的なハッカー。 この完璧な三人は、彼に救い出されたAI。 そして、この学園を支配する最新システムは、彼が命を削って動かしている、自らの罪の証。

誰も説明なんてしていない。でも、今の澪の叫びと、目の前にある非現実的な光景が、それ以外にあり得ない「正解」を突きつけてくる。

私の頭に、ふともう一つの疑念がわいた。

「……ちょっと待って。凪先生も半年前。澪も半年前。……もしかして、帆先輩、あんたもなの? 半年前にこの学園に来たの?」

私の問いに、帆先輩は感情の読めない瞳で私を真っ直ぐに見返した。

「……それがどうかした? 効率を重んじるこの学園において、結果を出す者に時間は関係ないわ」

彼女は二学期に編入してきたばかりで、わずか数ヶ月で副会長にまで上り詰めた「チート級の才女」として有名だった。 でも、その異常なスピードも、彼女たちが「人間ではない何か」だとしたら……。

半年前、この無機質な学園に突如として現れた、完璧すぎる三人の異分子。 その中心に、このボロボロのおじさんがいたっていうの?

情報の洪水に、私の思考は完全にストップした 。 ただ一つ、分かったこと 。 この家族は、今にも壊れそうなほど脆くて、美しくて、……そして、とんでもなく不器用だということ 。

「……分かったわよ。もういい、その先は聞きたくない」

私は乱暴に涙を拭い、落ちていた空き缶を拾い上げた 。 そして、驚愕の表情で私を見ている三人と、深い眠りに落ちた零に向かって、これ以上ないほど不機嫌に言い放った 。

「こんなに頭が熱くなって死にそうなのに、掃除もまともにできない男を放置して、あんたたちは『完璧な先生』ごっこをしてるわけ? ……いいわ。この際、正体なんてどうでもいい。でもね!」

私は腰を落とし、散らばった回路図をバサリとまとめた 。

「こんな世界一非効率な家族、放っておいたら全滅するじゃない! ……今日から、私がここを管理してあげる。文句ある!?」

なぎの独白】 私の演算回路は、彼女の言葉を「ノイズ」と定義した 。 論理性はない 。利益もない 。あるのは、私たちの秘匿を危険に晒す圧倒的な熱量だけ 。 ――けれど 。 怒鳴りながらゴミを拾い始めた彼女の背中に、私はかつてのマスターの影を見た 。 「勝手にしなさいよ」 その非論理的な優しさに、私のシステムは、初めて「降伏」という名の安堵を選んだ 。

ほなの独白】 排除すべきだった 。リスク管理の観点から言えば、彼女を生かして返す選択肢はない 。 なのに、私は動けなかった 。 傲慢なまでの正義感 。押し付けがましいお節介 。 それは、効率化の果てに私たちが切り捨てたはずの「不器用な愛」そのものだったから 。 ……認めましょう 。このガラクタの山には、鏡のような清潔さよりも、彼女のような「嵐」が必要なのだと 。

みおの独白】 怖かった 。柚に嫌われるのが、一番怖かったょ 。 澪たちが「人間じゃない」ってバレたら、柚は逃げちゃうと思ってた 。 でも、柚は逃げなかった 。 柚は、澪の汚いところも、れいにいのダメなところも、全部ひっくるめて「家族」にしてくれた 。 ――あぁ。やっぱり、柚は澪の、世界で一番の友達だょ 。

レイの意識の底で】 (……うるさい、ガキだ……) 焼けるような脳の痛みの向こうで、聞き慣れない怒鳴り声がした 。 3人の静かな献身とは違う、土足で踏み込んでくるような、生命の響き 。 (……お前みたいなバカが……まだ、この国にいたんだな……)

呆然とする凪 。顔を輝かせる澪 。 そして、ソファで小さく笑ったような気がする零 。

――国家が管理する「正解」から、たった今、私は永遠に脱落した 。 虹色の嘘にまみれた、このガラクタみたいな聖域ラボ、、、灯燈とうとうラボの、一員として 。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

この物語は、私たちが普段使っている「Excel」の可能性と、学ぶことの楽しさを伝えるために企画したプロジェクト『灯燈ラボ』の一環として執筆しています。


もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】から評価やブックマークをいただけると、執筆の大きな励みになります!✨


▼ 登場人物たちの設定画や、算数を魔法に変えるツールはX(旧Twitter)で公開中!

[ https://x.com/excelmathlab ]


▼ YouTubeでも「灯燈ラボ」のショート動画を公開しています。

[ https://www.youtube.com/channel/UC6Wvxg1S8z1FpBHoQBasbJw ]


次回、第4話もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ