機構魔導都市エルガルト

魔力と機械が融合した都市エルガルド。
この都市では、空調服も照明も乗り物も、すべてが「魔具」と呼ばれる魔導機構によって動いている。だが近年、魔具の暴走が相次ぎ、都市全体に“魔力揺らぎ”が広がり始めていた。

若き魔導修理士・リオは、亡き師匠が遺した「未完成魔具」の修理を通じて、都市の構造に潜む“歪み”を発見する。
それは、都市の設計思想そのものが老化し、構造庁によって隠蔽されているという事実だった。

構造美を信奉する設計士・セラ、魔力回路の異端研究者・グラムとともに、リオは都市の“初期設計図”を求めて地下層へと潜る。
魔具の記憶、uEV補正値の異常、そして都市の中枢に眠る“再構築式”――それらを手がかりに、リオは都市そのものを修理する決意を固める。

都市は、ただの器ではない。
それは、記憶と構造美を宿す“生命体”なのだ。

これは、壊れゆく都市を再構築する者たちの物語。
魔導と機構、記憶と美学が交差する、知と情熱のファンタジー。