神の傍観
掲載日:2025/09/03
神の傍観
「神が戦争を終わらせてくれる」と言う奴がいる。
だが、それはあまりにも傲慢な戯言だ。
僕たちは、空を飛ぶ鳥の縄張り争いを止めようとはしない。電線の上で、羽根をぶつけ合い、鋭い鳴き声をあげて威嚇し合う。
そんな光景を見ても、僕らはただ通り過ぎるだけだ。
庭先で猫たちが唸り合い、耳をぺたんと伏せて睨み合っていても、せいぜい水をかけるくらいで、本気でその争いを止めようとはしない。
なぜなら、それが彼らの習性だと知っているからだ。
本能に根ざした争いに、人間の理屈は通用しない。
彼らにとって、それは生きるための当然の営みなのだ。
ならば、神も同じように感じているはずだ。地上で繰り返される戦争を、神はきっとこう思っている。
「猿の縄張り争いだ」と。
神の視点から見れば、僕たちの歴史は、血と泥にまみれた動物たちの抗争にすぎない。
僕らが鳥や猫の喧嘩を傍観するように、神もまた、僕らの愚かな争いをただ見つめているだけなのだ。
僕らの祈りや嘆きは、空に届くことのない、ただのノイズにすぎない。
神は、僕たちの本能に介入するほど、野暮ではない。
この世界に救いなどない。
あるのは、神の視線という、ただの空虚な光だけだ。




