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最強少女の魔法奇譚  作者: 浪崎ユウ
第三章 魔高オリンピア編
33/53

32話 陰謀

遅くなって申し訳ありませんっ……!!

短いです。

 


 ドーム型の闘技場の中心部は様々な障害物が用意されていた。

 アオたちを含む出場者はスタート地点で開始の合図を待っている。



 通常の障害物競争と、明らかに違うのは。




「なぁこれ…外しちゃだめなのか?」



 植田が不服を示す。


 それもそのはず、出場者はチームごとに互いの片手をリボンのようなもので結ばれ、離れることができなくなっているのだ。

 3人1組なので、必然的に真ん中の人は両手を塞がれる。じゃん負けした植田だ。



「碧、絶対にスピード出しすぎるなよ。俺が体力的にしぬ……てかこんなルール考えたのどこのどいつだよ」



『まずは1年出場者の登場だ!』



 アナウンスと同時に爆音で明るい音楽が響き渡る。


 晴天の光がアオたちを歓迎するように辺りを照らした。観衆の歓喜の声が轟いた。


 360度に客が入り、圧巻の迫力をみせる。


「うっわぁ…人がゴミのようだ」

「碧も映画とか見るんだ」


 千草がボソリと呟いた。咳払いと共に、伊津の大きな声。


『準備はいいかな!?? それではいちについて…よーい…』


 アオは片足を後ろに引き腰を落とす。

 リボンで互いに手を縛られている2人も必然的に同じ高さまで屈んだ。




『どん!!!』




 破裂音が空を裂いた。




 *****




 話は、数ヶ月前まで遡り、研究室。

 白衣を着た背の高い男が持っていた血だらけの注射器をトレーにおいてため息をついた。



「あれ、もう終わりぃ? しょうがないなぁ、大事な被験た………捕虜を殺すわけにもいかないしぃ。今日はこのぐらいでぃいや。那原ぁ、ちょっと頼み事がぁるんだけど」



「はーい、漆原隊長ー。でも僕、第零部隊なので隊長の第三部隊は手伝えることがないかと…」

「ぃや、碧の件だよぉ。那原の方が渡しやすいでしょ?」



 話しながら2人が出ていった後、狭い牢の中、彼の角は欠けていた。血で赤く染まった背中を壁につけて肩で息をする。



 魔力を練る、が瞬時に霧散した。



「なんなんだよ、あのイカれ野郎!!! この手錠さえなきゃ今すぐ殺してやるのに…!」




 鬼人族、焔。

 3年前、この基地を襲撃し、研究室の牢屋に入れられてからずっと漆原の被験体として使われてきた。


 彼につけられた手錠は“絶魔の鋼”が使われており、魔力を完全に拒絶する。

 牢屋の檻も同じ素材でできていて、逃げるどころか魔法の行使さえ不可能。




 そう、思っていた。





「……なんで」




 黒い霧と共に死の気配の漂う重厚な扉が生成され、開く。牢に2体の魔人が現れた。

 1体は隊服を着ていて3人の女生徒を背中と両手に抱え、もう1体はフードを外し流れるような銀髪を見せた。



 焔よりも、格上。



 自分の生死は全てこの2体に握られている。

 そう直感し体の芯が震える。


「随分と見苦しくなったようで……んふふ……気分はどうです? 元魔王軍の、焔サン」


 その笑顔が恐怖を焔の増幅させ、奈落の底へと突き落とされたように凍えた。


「新魔王軍、フォラウス…!?

 それに、なんなのそいつは……まさか」


「混血魔人!? いや、でもそれは…」


「その通りですよ……今日は提案があるのです。あなたを助ける代わりに私たちに協力してください。そうすれば…」


 彼の存在感が一段と濃くなり、空気の温度が下がる。


 冷たい手で心臓を握られている。

 全ての血液が一瞬で氷に変わった。



 呼吸の仕方すら、忘れる。



「あなた方が勝手に動いたことは不問にして差し上げましょう」


「けど!! 君たちだってこの手錠は外せな」


 焔がそう叫ぼうとした時、フォラウスが目配せし、もう1人が静かに手錠に触れた。



「え………?」




 手錠は、跡形もなく塵となり――――、





 存在ごと消滅した。




ストックが尽きたので投稿頻度と文字数が日によって変わっています。申し訳ありませんっ……!!


次の投稿は日曜の予定です。

遅れたらすみません。

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