埼珠♡宝石
「これぞ、ミステリーですねーー!」
ニヤニヤしつつ近づく慎吾。
慎吾の気配を感じて竜はすかさず虎時と麒麟の後ろにまわりこんだ。
「ですね、麒麟さん。初めまして!!」
慎吾はペコリと頭を下げると、背後の車の方へ振り向きバックドアを開けた。
ゆっくりふわっとしたゆるふわ茶髪パーマが可愛い女性がニコリと満面の笑みで出て来た。
「麒麟さん、初めましてって、私は加奈です。慎吾つたいに千佳子さんに紹介して頂いてて。ああ、竜ちゃん! そこに居たんだ。良かった、間に合った!」
「加奈さん……」
加奈に呼ばれて少しだけ2人の陰から出て来た竜は緊張して顔つきが強張っていた。
「麒麟さん、『彼』がここまで来たのですね!」
慎吾が麒麟に詰め寄った。
「来た……と言うか」
麒麟が眉をひそめ言った。
「診ている……だな」
慎吾はゲラゲラ笑った。
「あの人はいつもそうだww」
「ちょっと、私の大好きな神様を侮辱するのはやめてってば!」
加奈は心外そうに、手を腰に置き低い声で言った。
「ああ、仕方ないじゃないか。アイツ、陰気だし永遠の口出し魔だからーー!」
慎吾は詰め寄る加奈にふてぶてしく吐き捨てた。
加奈の後ろから子供達が車から飛び出し、わぁーーっと向かいのゆ〜〜むに駆けて行ってしまったので、慎吾は苦笑いを残して2人の後を追って行ってしまった。
「これだから慎吾は〜〜!!」
加奈はほっぺたをぷりぷり膨らませて言った。
「これだから男は〜〜」
虎時が素振りをしつつ綺麗なフォームで言った。虎時は思った。ーーなかなかの良いシンクロではあるまいか!
「虎時さん、何言ってんのよ!」
さすがの竜も虎時の失言にすみませんと詫びた。仲間内ならいざ知らず。虎時はどこまでもオープンマインドな男だ。
「竜ちゃん、良いのよ。……慎吾の言うことも一理あるの。ーーそもそもが私がネガティブな時に出会ったからか分からないけど。『私のせいかも知れないの』あの、神さまはどこまで思慮深く、孤独で陰気臭いのはしゃーーないの」
虎時はシュッとした顔に戻った。
「神は所詮、紙だから」
「虎時さんッ!!」
いつのまにか、ズイズイ前に進み出ていた竜。
「竜ちゃんも、虎時さんも、ウフフ。もうーー私の友達だね」
加奈は微笑んだ。もう、曇天の空の下の陽だまりだ。竜は不覚にもキュンとしてしまった。
竜の脳内で、ズンと地面が1メートルほど波打った。
キャピキャピ、トランポリンのように跳ね上がる。
ーーそうだ、竜は幼い頃良くこの夢を見ていた。
世界は優しく竜を包み込んでいる。優しく、優しく。
そして、暖かく。
「そうだ、ここって『胎内』だ!!」
竜は曇天の空をぼうっと見上げていた虎時に聞こえるくらいには話しかけた。
「いや。竜ちゃん気が早いですね。もう1時間程度先が胎内ですよ」
虎時は眉毛ひとつ動かさずに言った。




