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アットホーム♡だか、キャットホーム♡だか知らんが、そう言うのは大体ブラック(キャット)だ!

「……虎時、それに竜ちゃん」


 まだ東屋でモフモフ焼き団子を食べていた竜、その隣で虎時は野球の素振りをして遠くの曇天をほっそい目で軽く見ている。

 そんな2人のもとに、護岸の急斜面をなかば転げ落ちるように半身濡れた麒麟がやって来た。


「竜ちゃん、虎時……すまん!!」

 麒麟は頭を下げた。

「どうしたと?」

 虎時は、鼻で呼吸して言った。

「すまない……わしではどうにも……既に、()は動いてる」

 麒麟はすぐにでも車へ向かおうと走り出そうとした所を、虎時に右手を掴まれた。

「彼って、どこのどなたのことです?」

 麒麟は脳裏に黒い男の姿を浮かべて、消した。

「簡潔に言おう。彼の名はーー饒速日、またの名を大国主」

 冷たく湿った山風が2人の間を吹き抜けた。

 虎時は呆気にとられ、また再び素振りを開始している。

「麒麟さんが人身御供で川の神様と契りを交わしたのではなかったのですか?」

 空気を深読みし過ぎてとんでも発言してしまった竜。

「ははは、竜ちゃん。君は本当に流れる水のようですね。ーー虎時に竜ちゃん。いいですか。ーー今回の場合は、(わし)(いざなう)のが正解(コレクトアンサー)

「誘うってば、麒麟さんはまるで伊邪那岐命ですかーー、誘うの伊邪那美命?」

 竜は好奇心に満ちた瞳で麒麟の次の言葉を待つ。

「へぇーー。普通は生娘を()()捧げるのがセオリーだろうに。()()の立ったオヂサンで、その神は喜ぶのですか。それに、大国主のつまごいで新潟と言えばヌナカワヒメさんだろう……」

「虎時、それは聞き捨てならんな。男はわしくらいの方が神々にはモテるのだ!」

 虎時はため息をついた。

「麒麟、そう言う問題ではなかろう?」

「ねえねえ、日本神話の伊邪那岐命と伊邪那美命の話とアダムとイブの話って、似てない? 伊邪那美命が黄泉の平坂の向こう……黄泉へいってしまい、そこの食べ物食べてしまったのでもう、愛しい貴方には会えませんって一度断るの。アレって知恵の実を食ってしまい楽園追放される話と似てなくね?」

 男2人の話に割って入る竜。

「竜」

 麒麟が何かを察したのか口をつぐんだ。

「竜ちゃんが似てるって言うのは楽園追放って所かな……、伊邪那美命は死して黄泉の国へ行ったわけだし……ふむ?」

 虎時何か引っかかる。

「ああ、麒麟さんがそれなら私はイブに知恵の実を食べる様にそそのかした『蛇』じゃん?」


 しばし沈黙。

 麒麟と虎時が竜を見て、吹き出した。

「竜ちゃんが知恵の実をイブに食べるようにそそのかせるのかww」

 虎時はおかし過ぎて腹を抱えてまで笑ってる。

 虎時は竜が過去に城ヶ島の大蛇だった前世のような話を聞いていたので尚更おかしかった。たしか、村人の上を飛んでたら村人のびっくりした顔がおかしかったとか……。そんな、驚かす事が楽しかったって言う、堂々と人前に姿を現す奴が狡猾にイブに知恵の実を食べさせる事が出来るだろうか。どちらかと言うと……。竜は無骨だ。そして無策。後先なんて考えていない奴に何が出来ると言うのだろう。虎時はそんな考えが頭をよぎる。(楫の三郎山神社の大蛇伝説の大蛇は今は鎮まっていると言うのだし)

 「虎時、君の感覚と僕も同じだと思います」

 東屋から一番近い駐車場に一台の車が止まりフロントドアが勢いよく開き、中から小笠原慎吾がひょいと顔を出して言った。




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