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ねえねえ⭐︎虎時さぁーーん!

 虎時は思った。


竜ちゃんはきっと何かに気がついているはずです。しかし、俺も意外と鈍感な男だ。

まずは、そこんところハッキリさせとかないとですね。


 竜ちゃんに少し視線を向け。いや、チラチラ見てみた。

もちろん、聞いてみたいがそれは男の性としてどうだろう。

聞かぬが仏ではないのか?


「虎時さん、どうかした?」

「どうかしたのではなくて、なんだか……?」

竜はゆーーむを見てから。

「あのさ、ずっと前から思っていた事あるんだけどさ」

竜はふうっとため息をついた。

秋は深まり、すぐそこに深い深い寒さが押し寄せてくるようだ。体感的に。

「ずっと前から、俺のこと?」

「やめてよ、虎時さんってば。そうじゃなくて。ーーこれから山、ううん、山形に、仙台に行くわけじゃん。この道行けば」

まるで詩を詠んでいるみたいに言う竜。

「そうですね。このまま行けば」

竜は、東屋に入ると座った。竜だって長い時間この場に留まれるとは思ってはいないだろう。

なんてったって、今日中に仙台まで行かねばならないのだから。

いつだって、ほんの一瞬。その時である。

竜は笑った。

「こうやってさ、ご当地のアイスクリームとか名物食べてる私、虎時さんとふざけている瞬間。ーー今なんだよね」

「そうですね。そうだ、竜ちゃんそこに座っていて下さい。俺、ポッポ焼き買って来ます」

「ええ、良いよ。ちょっとここに座って。私の話を聞いてくださいよ」

「なんですか?」

東屋から秋晴れ、行楽日和の空を見上げて竜は言った。

「私、子供時代、山形のばあちゃん家から家に帰りたくなかったんだよね」

「それは、どうしてですか?」

「もうね、このまま帰ってしまったらまた嫌な学校生活が始まるって」

「竜ちゃんはそんなに学校生活が嫌でしたか?」

竜はうんと頷いた。

「前も言ったけど『なんでみんなはこんな事ぐらいで怒ったり、いじめたり、騒いだり楽しそうにしたりするのかな』って思ったって言ったけど。とうの私はその人たちの輪に入れなかったし、入らなかった。虎時さんみたいに自己肯定感たっぷりの人なら違ったかもしれないけどと思っていたけど」

「いたけど?」

「そうだと思っていたけどさ。今考えると、私、この時代に合わないだけだったんだわとさーー」

「それって、竜ちゃんの考え方がばあちゃんみたいでって事ですか?」

竜は腕組みをして以下にもという風体をとった。

「いや、それも違うんだ。……もっともっと古い。でも、それって現代に適応能力がないって感じでもないようなそのような……?」

「どのような?」

「どのようなと言われると……、今現代の常識とはかけ離れているけれどずっとシンプルで軽い感じ」

「軽い、それってアウトロー的な?」

「アウトローがどんなんだか、あ、そうそう。やっぱ、つまんないけど、それが一番ニュートラルな暮らし。自分が生きる糧を得るのにこれ程までに苦労はしない。……人間は本来湿った場所にも乾燥し過ぎる場所にも居るのはほんの少し瞬く間だけなんだ」

「むむむ、竜ちゃん。難しい事言っていませんか?」

「だからぁ……、どんな時も印象に残る一瞬って、印象に残るくらいだから、そう滅多にない事なんだよ」

「ふむふむ……?」

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