なぞなぞ♡
「円と円に接する線には交わる点が2ーーこの面接とか求める計算なら小学生だかの算数で習ったような」
虎時は、何事も無かったかの様に立ち上がると(今まであぐらかいて座っていた)、竜の隣に座った。
「竜ちゃん、計算なんて何も考えずして絵を見てごらん」
「だからさ、私は見てる」
「それ、ほんとう?」
虎時はシャンディガフを飲みながら、フウっと息を吐いた。
「線が円になってて、線がってーーああ、虎時さん私の言っている意味が違った。線が円に接しているんではなくて交差してるって事?」
「竜ちゃん、算数で考えなくても良いから」
「ん、どういう事?」
竜は困ってしまった。
「絵だけを見るんだ」
八切は言った。
「真言を唱え初めたばかりにときは真言の内容を深く知る必要はなく、何遍も唱える。真言は唱えると徐々に、感覚が研ぎ澄まされていく。よく言われている事だけど。この様に、物事を見極めたい時は、簡単な事でも何遍も繰り返しおこなって行くうちに自ら意味を考えたり教わったりと、心理にたどり着けるーーどんなに、凡人であってもよ」
いちごちゃんが言った。
「私も、真言を毎日唱えていればいちごさんみたいな女性になれますか?」
虎時のなぞなぞは難しい過ぎて、答えられないが。
「そうねーー。きっと、なれると思うよ」
「答えは簡単、円をまるで切断された様に描かれた線は円を突き抜けて外へ出ている。だから引かれた線に沿って歩けば外へ出れる。もしくは点は円から移動する」
竜はポンポンと虎時の肩を叩いたが。
「いやぁ、凄いよ竜ちゃん」
「何がすごいのよ」
竜にはてんで分からない。
「そうだなぁ。いちごちゃんの手にしたもの全てになってしまうような。それでいてそうでない、きっと玄武のようなやつは……」
虎時は遠い目で玄関方面の暗がりを見た。
「玄武がどうしたって?」
竜が言うと、重い足音がしたと思ったら、暗がりから姿を現した。
「僕がどうしたって?」
玄武が暗がりから顔を出したかと思ったら、その後ろから千佳子と麒麟がニコニコ満面の笑みで現れた。
「千佳子さん、こちらが、呉虎時と竜ちゃん……、それと」
玄武が千佳子へ振り向きざまに言った。
千佳子はもっと笑顔になって竜の目の前までやって来た。
ちょっと、女性が苦手な竜は顔を曇らせ虎時の背後に隠れた。
「ああ、玄武さんの言った通りだね。竜ちゃんって女の人苦手なのね。どうどう、私、千佳子って言うんだけど、今日から友達にならない?」
千佳子は虎時の後ろへ回って再びニコッと笑い、しっとりと冷たい鋼で出来ていて良い香りのするポマンデールを驚き硬直している竜の手に握らせた。
「千佳子、そんなに強引な事をすると竜ちゃんはチビってしまうぞ。ガハハハ!」
後ろで一部始終見ていた麒麟がゲラゲラ笑った。
確かに、竜は息が止まってちびる1秒前だった。
「八切、いちご、ご協力ありがたい」
打って変わり、麒麟は神妙な面持ちで八切といちごちゃんに挨拶した。
「いえいえ、こんな時こそ我々の力が必要でしょう」
八切はいつの間にか用意されていたお猪口を麒麟に手渡すと熱燗を注いだ。
「ああ、かたじけない」
硬い顔の麒麟の目尻が緩んだ。




