表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/72

狐♡贈り物

ドンドン!


ドンドン!


扉を叩く音が聞こえ、疲れが取れ切っていない玄武だったが起き上がった。


そのまま、ドアノブに手をかけたが足元に目が行き、裸であると気がつき椅子にかけたパンツとズボンを履いてから扉を開けた。


「……?」


ドアの前には誰も居なかった。


玄武は、階段の方へ行ってしまったのかと思い階段の方へ視線を向けると、千佳子が血相を変え、駆け上がって来た。


「千佳子さん?」


「玄武さん!」


千佳子は玄武の顔を見つけて、駆け寄ったが、鍛え上げられた玄武の上半身裸姿でまだ眠たそうな顔を見た瞬間、千佳子は来た道をダッシュで帰り、息を切らして戻って来た。


「玄武さん、まだ眠い?」


「大丈夫です。『千佳子さんを見たら』目が覚めました」


千佳子のせせこましい動きはまるで、何か……小動物みたいで。笑える。玄武はつい少し笑ってしまった。


「あの、玄武さんさ、今私の顔を見て笑った?」


「……すみません」


「ああ、えっと、そうくる?」


つい、千佳子も笑ってしまった。


玄武は、ゆっくりうなずいた。


「千佳子さんは、お風呂上がったんですね。ーーそしたら、リビングにいる麒麟に……」


「あのーーさあ」


千佳子は言いづらそうに、切り出した。


「麒麟さんって、怖い人だったりする?」


まだ眠い玄武はドア枠に身体を寄りかかり、部屋の方へ視線を向けた。


「麒麟は先々の心配をしてくれるだけで、怖い人ではないと思います」


小説などの執筆以外については。


「本当?」


「本当です。つい先ほども、僕は麒麟に助けられました。ーーそして、千佳子さんあなたにも。僕はあの時……」


「ああ、はい。あの時は私も助けられたわ。玄武さん、ありがとう。それじゃあ、麒麟さんの居るリビングに行こうか!」


「あの、ちょっと……」


千佳子は、玄武の手を取って歩き出した。玄武は千佳子のバスローブ姿から目が離せない。


はちみつの甘さ石鹸の匂いがする、長い髪の毛が空気中になびくたびに、鼻腔をくすぐる。


ハクショョンw


「玄武さん、身体冷やしちゃった?」


千佳子は振り向きざまに、玄武の顔を心配そうに覗き込んだ。


千佳子のバスローブから、柔らかい胸の谷間が見える。結局、あのピンクのブラジャーを選んだらしい。


千佳子のバストサイズはDカップ。玄武の手にスッポリ収まるちょうど良いサイズ。


……麒麟は確かBカップくらいがお好みだったはず。


僕もあの時驚いたんだ。朱雀は女装用の下着だけは必ずいつでも持参するから、麒麟のコスプレウォークインクローゼットに補充されないはずで。


朱雀は甘ロリとかゴスロリは、和装ではないから興味無いとか言っていた。


つまりは、麒麟は千佳子の為に用意した衣装だという事になる。


ーーまさか、竜ちゃんが甘ロリとかゴスロリとか……その線もなくも無いかも知れない。


玄武は引っ張る千佳子を見て、千佳子のゴスロリ姿をつい想像してしまった。


多分、ツンデレタイプの千佳子がゴスロリ。日傘の角度を変えてキリッとして美しい顔を覗かせてくれる。


ーー可愛いな。


玄武はひとり別世界に入ってしまっていた。


 バタバタ、二人は一階の麒麟の待つリビングに入った。


(そう、ここはドタバタに紛れれば良いんだわ!)


千佳子は、ひとりひっそりと紅茶を飲む麒麟と向かい合わせでソファーに座った。玄武はその横に座った。


「玄武、来たか。ーー身体も冷えたし、風呂に入ろう」


どうやら、麒麟は玄武が来るのを待ちあぐねていたらしい。


服も濡れているからかと思った千佳子だったが、いつの間にか麒麟はTシャツとハーフパンツという、楽な服装になっていた。


(変わり身が早い人ね)


そう思った。


「そうします」


玄武も、ひとり待って入るより直ぐにでもベトベトな身体を洗いたかった。


そう、願ってはいたが、千佳子はひとりリビングに残されることになった。


「千佳子さん、この紅茶美味しいですよ。わしらが上がって来るのを飲んで待っているか、二階の部屋であれば……どこの部屋を使っても良い。先に寝ていてくれても構わんよ」


「ええ、それだと、私、お礼も出来ないですし、麒麟さん達がお風呂から上がって来るのをここで待っています!」


千佳子は麒麟に見つめられるとつい怖くて背筋が伸びてしまう。


玄武に視線を移すが、玄武は軽く会釈して麒麟の後をついて行ってしまった。


優しく扉が閉められる。その音と共に先程お風呂に入ったばかりだというのに汗がドバッと全身の毛穴から溢れ出た。


手元に置かれた紅茶がとても美味しそうに見える。


そうだ、海にも風呂にも入った体は水分を欲していた。


一口紅茶を含むと、アールグレイだった。ベルガモットの柑橘系のフレーバーがとても爽やかに鼻から抜けていく。


ほっぺに手を当てて、ほっこり、にっこりした千佳子。


「だども、麒麟(あのひと)には神獣麒麟がついてる、もしくはついたて言うども、その麒麟さんはどちらになるのかしら?」


部屋の室温がちょうど良い塩梅に温かい。紅茶も身体を芯から温めてくれるし。


ソファーも丁度いい柔らかさ。


……もしかしたら、麒麟は良い男なのかもしれない。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ