あのねッ♡あのさッ♡全てが全て♡♡どんな愛情であっても⭐︎
「ーーなんて、たわいのない話をいつもしているよね。私達」
また、私人の四神達のスピってるお話に流されそうになって、グッと拳を握り押し止まる竜。
虎時は目を瞑って、汗を流している。
「暑い?」
竜がハンカチで虎時の額の汗を拭こうとしたら、朱雀がグッと竜の手首を掴んで言った。
「竜ちゃんには信じてもらえやしないやろけどーー、私達は『ここ』で戦っとんのや!」
朱雀はそういうと、自分の頭を指差し言った。
「私らは、先手、先手をできるだけ取りたい。だが、先を読みすぎて過去まで戻ってしまったり、我らと同じく、戦うことが運命付けられた者どもとも、水面下で日夜先手の読み合いをして、始終戦っているってわけや」
「うーーん。朱雀さんそれって、私に分かりやすい何か証拠とかある?」
それがなければ、虎時さんてばただ自分の妄想だけで苦しんでいる様にしか私から見ると見えないもの。
「証拠ですかーー」
玄武は、青大将と一緒に天井を見上げると軽く頷いた。
「あっ、玄武ったら、蛇さんとシンクロしてる!」
竜が嬉しそうに玄武達を見て言った。
玄武と青大将は見つめあって、頷いた。
「そうや、それそれ!」
朱雀が歓喜の声を上げた。
「……なに、玄武さんが蛇さんと以心伝心出来てることが、その証明なの?」
竜はいぶかしげに朱雀を見つめた。
「竜ちゃん、僕たちは意識の中で、まるでネットの中のパケットを受け取るサーバの様に、通常は目視出来ないと言われている、意識の海の中で世界中の戦士と戦っているんだ。先手を取らないと上手くいかない時もあるから。僕はーー虎時ほど、大道を真っ直ぐ堂々と行かないけどさ」
「玄武さん、それってまさか……?」
竜がニヤつき聞くと、
「竜ちゃんの考える通りさ。そうだね、僕はこうやって人間より生き物達と意識の海で話すのさ。……でも、実は虎時の方がそれは上手なのだけれど……」
玄武がそこまで言うと、虎時はカッと目を見開き言った。
「俺は、畜生とは話さんがな!」
「ウフフ、虎時ったら、強がりを言いなさんなって。竜ちゃんーー虎時はご先祖さま譲りの音感と、特に動物達を誘惑する魅力があるのよーーなんてったって……」
朱雀がそこまで言うと、竜も理解出来た。
「猛獣の私を、使役出来るくらいだもんねw」
「あはは、竜ちゃん、普通はそこで納得しちゃいけないんやけど。まあさ、遠い昔から、私らのようなもんは、私らの様に「信念」を持ち戦って、「足跡」を残し、次に繋げて来たんやで」
朱雀は扇を麒麟の目の前に飛ばした。
麒麟は鼻歌歌いながら、酒をかっくらっている。
「朱雀、わしの鼻歌をなんだと思っている!」
「もっと、真面目にやってくださいな!」
「だが、今宵は可愛い♡取り巻きが多くてな。わしは集中出来んのだ!」
「だったら、先に一人で抜いてくればよろしおすw」
「ああ、分かった。少し、海風でもあたってくるわ」
「ええ、そうしぃ!」
料亭小松は、今では浜辺から離れた位置にある。
麒麟はどのくらい歩いて海風にあたってくるのだろう。
海風になんて、あそこを当てたらヒリヒリすんじゃないの?
なんて一瞬下世話な事を考えてしまった竜。
襖の前で麒麟の背中を見送る朱雀。襖をそっと閉めて、玄武、虎時がそうする様に、少しだけ足を崩して、瞼を軽く閉じた。
異様な光景だ。
瞑想だろうか。
ーーただ、寝ているだけだった。