女♡女♡
「はい……」
竜は、アイドルいちごちゃんの綺麗な眼差しで見つめられるとパニックになってしまう。
「お風呂、一緒に入ろ♡」
ビクッと体が身震いした。
竜は断ろうとした。
「は、はい」
でも、出来なかった。
虎時なんか、八切に温泉を案内してもらって嬉しそうに帰って来るし。
(こんな時こそ、「うちの竜は人見知りなんで」と、断って欲しかった)
竜にとって、知り合ったばかりの女性と親密に過ごす事はパニックに陥ってしまうくらい。
竜はその勢いでいちごちゃんに、手を引かれ暗く寒い廊下を戻り客室へ通された。
「今日はこの部屋を使ってね」
「ありがとう」
竜は、敷かれたふかふかの布団を見た瞬間飛び込みたくなったが
「竜ちゃん、お酒を飲む前に湯に入らないと体に悪い。先に湯に入りましょう」
いつの間にか、背後に静かになった虎時が居た。
虎時は気配を消すのが上手い。いちごちゃんも目をまんまるにしていた。いちごちゃんは直ぐに二つ隣の部屋に入って行った。
下着だけ持って竜は、戸口に立ったが虎時は竜の手首を掴み引き寄せ留めた。
「竜ちゃん、いつもの事だがーー軽くは無い、だが重くもないのはなーーんだ!」
「虎時さん……」
虎時はにっこり笑った。
「俺が世界で1番軽いが重い男だ。へへへw」
「何よ、虎時さん。親父ギャグだか、なんだか分からないけど。いちごちゃんとお風呂へ入ってくるよ」
「……」
「なによ、急に黙っちゃってさ」
「……俺だって」
「だから、何よ。世界で1番軽くて重い男でしょ。わかってる!」
「……」
虎時の顔に影が浮かぶ。
いや、今気がついたけど。この部屋電気を……。
パチン。
「暗闇にゃ、進んで明かりをつけましょう」
いちごちゃんが部屋の入り口に立っていて室内灯をつけてくれた。
虎時は苦笑いして頭を掻いた。
「竜ちゃん、私はいいから虎時さんと一緒に先に入りなさいよ。私も八切と入るからさ」
「あ、はい。いちごちゃんありがとうございます」
竜は背後にいる虎時の方へ振り返った。
いちごちゃんがそっと部屋を出ると、竜は虎時に、にじり寄った。
「虎時さんさ、もっとハッキリ言ってちょうだい。いちごちゃん気を使ってくれたみたいじゃん」
「……何?」
虎時はキョトンとしている。
「もう、虎時さんてば」
虎時も着替えを用意して、竜と一緒に大浴場へ向かった。
湯の暖簾が風にふわりと揺れて二人を迎えた。
ビンテージな籐の籠がずらりと木の棚に整然と並んでいる。
湯煙で曇るカラスドア越しに、湯の流れる音が聞こえる。
体重計もあって……。
「虎時さん。何から何まで温泉旅館だね」
竜は服を脱ぐと手拭いで前を隠し、脱衣所を隅から隅まで見て周り脱ぎ終わっていない虎時のシャツを脱ぎ捨てるように引き上げた。
「ああ、竜ちゃん。ーー待てってば!」
「待てるもんですかーー!」




