♡必ず♡バニラアイス⭐︎
「お久しぶりです、八切さん」
「お久しぶりです」
虎時は親しげに握手を求めた。八切は、虎時と笑顔で視線を合わすと隣にキョトンとしている竜にもニコリと微笑んだ。
虎時と同じくらいの年齢なのだろうか。多分世渡り上手さがその笑顔に滲み出ているのだろう。目を視線を伏せて首下を見ているので竜にはそれが見えていない。だがその雰囲気、匂いから竜にも読み取れた。でも、本心をすぐに明かさないであろう人だろうな。竜は思った。
「あなたは、虎時さんと、竜さんですか。こちらは僕の妻の光です。ほら、光」
光と呼ばれた、はぁとの戦士いちごちゃんは何故か竜の背中越しに何かを見ている。
「あの白い……」
光は何か言おうとしたが、
「玄利のコンサートお二人も来られますよね?」
八切は聞いた。
「うーーん、俺たちは、まだ行くかどうか分かりませんね。確か、コンサートは仙台ですね」
虎時はバツが悪そうに応えた。
「え、どうして。虎時さん。長月さんのコンサートだよ?」
「ですが、まずは新発田の白虎隊の」
「いやいや、虎時さん。文化財はまたいつか見れるし。新発田だし」
「あらあら、あなた。ーー竜ちゃんて言うのね。あなたも自由に生きた方が良いと思うわ」
光が目を瞬きながら、感心した様に竜を覗き込んで言った。「もちろん良い意味でね!」と。
「そして、あなたが虎時さんなのか。あなたも私の夫と同じような気質なのね。まあまあ、お疲れさん」
「あはは。俺には愛妻竜は勿体無いくらいであります」
虎時が頭を少し下げ言った。
「あらまあーー。奥様を立てられる良い旦那さんね」
「ええ、それほどでも〜〜⭐︎」
虎時は爽やかな笑顔で笑った。
虎時は、竜が言うのもなんだが、とても良い夫である。
ご飯は粗食を2食と、猫をもふり、いつも穏やかに笑ってる。
八切と光は先ほどまで二人が入っていたイートインコーナーに入って行った。
その姿を見送りながら竜はつぶやいた。
「あの、八切さんの奥さんが『気質』がどうとか言っていたけれど、もしかして?」
竜が首を傾げて言うと、虎時は一拍置いて言った。
「その通り。あの方々は奇奇怪怪なチーム、チーム八切だ」
虎時は再び、イートインコーナーに竜を手招いた。
「竜ちゃん、食後のソフトクリームを食べましょう!」
手招かれたら行かねばならぬ。
「虎時さんはバニラ?」
「もちろん、シンプルが1番!」
「だよねーー」
虎時さんは素材の味を味わっていたい人。
竜は期間限定とか大好きである。しかし、今回は虎時がバニラでも、生乳味と豆乳ソフトがあったので二人でひとつずつ注文して視線の先に座る、光り輝くオーラをまとうはぁとの戦士御一行を気にしつつ、
「虎時さん、豆乳味だよ。あーーんして⭐︎」
ちょっと、二人を意識して、棒読みな竜。
「はーーい⭐︎」
合わせて、虎時も棒読みだ。
パクッ!
「うまい!」
「ねーー良かったねーー」
「竜ちゃんも⭐︎」
「はーーい⭐︎」
側から見たら夫婦コントのようで笑える。
パクッ。
「美味しい!」
虎時さんの生乳のソフトクリームも美味しい!
食の細い虎時さんもソフトクリームは竜と結婚してから頻繁に食べるようになった。
もふもふ、竜が必死になめていると、虎時がボソッと言った。
「ここは、竜ちゃん。『みなかみ』ですよ」
「ああ、谷川岳って?」
「群馬県利根郡水上町……」
「ああ、私の旧姓と同じみなかみね?」
「そうです……」
虎時は真剣にソフトクリームをなめつつ。含みをもってうつむき加減に言った。
「虎時さん?」
虎時さん、そのふくみは怖いよ。




