私♡まつワ♡モツ煮定食!
小笠原一家はどうやら虎時と竜と同じく新潟へ行くのだろう。
虎時と竜はまたイートインコーナーに入ると、虎時はモツ煮定食を注文し、竜はタレカツを注文した。
虎時がモツ煮を食べる所は初めて見た。
モツ煮だよ、かみ切れないかもだよ。
竜は、内心心配だったが、虎時はモソモソ食べている。美味しそうに食べている。
「虎時さんて、モツ煮食べれるんだ。それなら、うちでも作ろうかな」
「いや、うちではいいよ」
虎時は即座に答えた。
「どうして?」
「あのね、竜ちゃん。こういうのは大きな鍋でグツグツ煮たものが美味しいのです。うちの鍋では小さいですし、量も少ないです」
「虎時さんは大鍋料理が好きなの?」
「お米もそうですが、少ない量で炊くより多い量を炊く方が美味しいのです」
「ふぅむ。……虎時さんて、美食家なの。食欲と性欲は同じ脳の領域だって言うけどさ。……それならどうして、虎時さんは私のこと好きになってしまったのやら」
「ははは、本当に美味しいかった!」
「モツ煮、それともーー?」
「モツ煮な!」」
「くそう、虎時さんったら!」
竜もタレカツを食べ終わり、二人でイートインコーナーを出たら、もう日が沈んでいた。
谷間にフゥッと冷たい風が吹く。
「私こんな時、寂しさ感じるんだ」
竜は瞬き始めた星を見上げて言った。
「暗いから、寒いから?」
そんな竜を見て虎時は竜の手をそっと両手で包み込んだ。
「なんか、生ぬるい……、虎時さん、コレはダメよ!」
「そう、これなら、どう?」
竜を前から被さるように抱きしめた。
「どうって……恥ずかしい……でも、こうされればこうされるほど、切なくなる」
「どうして、ですか?」
虎時の声は批判するべくもなく、心配するべくもなくただただーー。
「山は切ないのさ」
竜はサッと虎時の腕からすり抜けると、車に走った。
「ン!」
暗闇に眩い光。その中心にプリンプリンの魔女っ子。明るいピンクの緩くパーマがかかった髪に、これまた目の引く厚底の靴。
「そこに暗闇があるとしたら、あたしはあなたの未知のストーリーを照らす、ひとつのあかり星⭐︎はぁとの戦士いちごちゃん!」
「はぁとの戦士いちごちゃん……?」
竜はいきなりのショータイムにびっくりして足を止めた。
走り寄って来た虎時がポンと竜の肩を叩いた。
「八切さん」
はぁとの戦士いちごちゃんの背後から、不安そうに駆け寄って来る男性に向けて虎時が明るく言った。




