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今はただ♡
長月玄利の腰まで伸びた美しい黒髪が松島の福浦橋の上から風を受け光輝きながら流れる。
「今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな」
玄利がつぶやく側を玄武がスタスタとひとり通り過ぎる。
「…… 長月玄利か」
玄武は足を止めると静かに呟いた。
「そう言う君は、石田君だね」
鋭い玄利の瞳にハッキリ映った。
「……」
「僕のライブに来てください。待っています」
「……」
玄武は、気にせず渡った。
「海神……。僕はいつも月影に現れると言われていますがね」
玄利は、福浦橋から降りた。




