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金輪際♡はなさない!

『玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする』


狼くんが波間を覗く千佳子に微笑みかけ囁く。


千佳子は松島巡り観光船に乗り込み、内海から少し外海に近い所までやって来ていた。


もっともっと早くと千佳子が幸を急ぐのは、その時間(とき)が迫っているからだ。


「何が好きで、私がこんな事をw」


狼くんの生前と言うか、行方不明になる前の仕事場、松島基地に近い観光地として有名な松島。


『自分が出来ない事を君には出来るだろう』


耳元で囁かれた千佳子。


「いやいや、狼くん。あんたは今、生きてんのっかって話。私に指図する前に『そこ』から出て来い!」


しばらく、波の音が水上の静寂を奏でてくれる。


時間帯的にも、曇天のせいなのか、フェリーの一階には千佳子しかいない。


『自分はーーあの神の戦いがしばし凪状態になったあの霧の日から、時空の狭間からこうやって出でいけなくなってしまっていた。ーーそんな自分を好きだと、力になりたいと言ってくれたのは、他ならぬ『大神(おおかみ)の声を聴く一族』の巫女である狼千佳子、貴女なのです』


「あーーあ、言ってくれちゃって。私のご先祖様はそのような事が出来たかも知れんけど。なぜに私にそんな事が出来るとでも?」


話は狼千佳子が大学生の時、人づてにそういった能力者の千葉に狼くんの事を相談した事から、未来の玄武を助ける事が出来たらーーと頼まれてしまったのだ。


狼くんと過ごす間に、千佳子はどうしても時空の狭間から狼くんを助け出したいと思っていたのだが。


もう、そんな甘酸っぱい時はとうに過ぎ去りの今である。


『千佳子、自分にはそれが出来ないのです。時空の狭間を彷徨うしかないこの身ーー玉の緒よ』


「ああ、わかった。わかったってばw」


千佳子の脳裏に小笠原の顔がフッとよぎった。


同じ千葉出身、同郷のよしみ。


手元にあった、カッ○えびせんを投げた。近くを漂っていたカモメがナイスキャッチ!


「小笠原くんは……若狭の、いや、違った富山の『黒い君』の件で加奈さんと色々あったそうだし。てか、そうであったとしても、私には何のーー」


『自分の声が聞けている、ただそれだけでーー大きな力となっているのです』


千佳子は肘をついてふうっとため息をついた。


「龍王が統治した凪の時代をーー龍王を倒し、覇道の時代に転換した野郎どものケツを拭いてやんなきゃならんのが、どうして龍王側の私達なんだかね……。世の中、おかしいと思わない?」


『覇道を生きる者は覇道の道をひたすらに進むだけなのだと、自分は思います。それはこの世の仕組み。凪のまにまに』





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